パルデンの会

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橋下氏、慰安婦発言を釈明




勝谷誠彦氏の有料ブログより転載

 なるほど法廷弁護士としては優秀だったんだろうな、と思わせる会見だった。
 <橋下氏、慰安婦発言を釈明/「歴史学者ではない」>
 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130528/stt13052800490003-n1.htm
 <日本維新の会橋下徹共同代表(大阪市長)は27日の日本外国特派員協会での記者会見で、慰安婦問題をめぐり改めて持論を展開した。ただ、「私は歴史学者ではないので」などと踏み込んだ発言を避け、質疑応答がかみ合わない場面もあった。>
 「複数の目で」「準備書面をチェックする」典型的な法廷戦法である。橋下さんは、いつも自分の中でこれをやっていた。その基本的な自信の上に、あの丁々発止のやりとりがあったのである。私は法律家ではないが、手法としては同じなのでよくわかる。生放送でも危ないサイドに落ちないのは、本能的にそれをやっているからだ。政治家などが失言をするのは、その訓練ができていないからなのである。
 それを橋下徹大阪市長は会見では更に慎重に目に見える形で行った。自分の心の中、あるいは手もとに置くだけではなく、質問者にまで配布した。「いいですよね、あなたも確認しましたよね」と場の共犯者に巻き込んだのである。なかなかうまいというほかはない。しかし、コトの本質は表現の枝葉末節ではないのである。「政治家としての橋下徹」の「政治的発言」が問われているのだということが、橋下さんはまだわかっていないのではなく、わかっているのだろうけど、窮しているんだろうな。
 political correctnessということばがある。「政治的に正しい」という妙な日本語に訳され、日本的な狡い言い換えと勘違いされがちだ。「国防軍」を「自衛隊」と言うような(笑)。そういう意味では「売春」を「風俗」と言ったことで橋下さんはpolitical correctnessに忠実だった。しかし本来の意味でのpolitical correctnessで大きく誤った。いかなる状況下であろうとも、売春を政治家として容認したことだ。売春の存在そのものを認めることは間違いではない。しかし「風俗」という言い換えを使ってではあっても、それを他国の軍隊に推奨したのはpolitical correctnessとしては国際社会では信じられないことなのである。
 この本質的な部分については言い訳ができないだろう。だから今回、橋下さんはそこは撤回し、謝罪した。ただし謝罪の仕方が「思ったことが通じていなかった」的になっているのはマイナスだ。そうではなくpolitical correctnessとして不勉強であり、不用意であった、と言うべきだった。「残念ながら世界にまだ売春はある。私たちはそうではない社会を目指したい」くらいを、アメリカの政治家ならば言うだろう。
 橋下さんは言えなかった。なぜか。市長としての統治下に売春制度が公然と存在しているからだ。さすがに海外のメディアはそこを突いてきた。

昨日の中でもっとも緊迫した攻防だったと言っていい。少し長くなるが、その部分を全文引いておこう。
 <27日の橋下氏と特派員らとのやりとり>
 http://www.asahi.com/politics/update/0527/OSK201305270016.html
 <Q・世界各国の軍がこのような行為に携わったという話に、イタリアを入れないでくれてありがとうございます。スピーチの中では、女性の尊厳を尊重するといった発言がありました。性的行為は女性の尊厳を脅かすという話があったが、先日フジテレビだったと思うが、中山議員との話の中で大阪の飛田組合ですか。風俗、売春と言っていいか分からないが、そこの顧問弁護士だったと言った。売春そのものが違法だが、市長でありながら顧問弁護士をされるということは相反しているが、ご自身をどう納得させているのか。また、先ほどの紹介では、市長は大阪で最もすばらしい市長だと聞いたが私はちょっと意見が違う。
 橋下・まず、弁護士業として顧問の関係にあること、顧問先については我々は守秘義務がありますので、我々はここで全てを語るわけにはいきません。
 まずここで言えることは、かつては顧問弁護士だったことは事実であります。それは、飛田の組合という料理組合の顧問弁護士です。料理、料理組合。日本において、違法なことがあれば、捜査機関が適正に処罰をします。料理組合自体は違法ではありません。>
 性の帝王、ベルルスコーニさんをずっと担いでいたイタリアの記者にしてはなかなかウィットに飛んだ切り出し方だが、そういう国だけに視点がいい。今回の件が起きてから私は随所でこのことを指摘してきた。
 風俗ライターとして食べさせていただいてきたものとして、私は飛田的なものを愛するし、そこに強制が伴わないのであれば他国にどうこういわれたくもない。今回の出来事で、実はいちばん危惧しているのはこれで飛田が矢面に立たされて、消滅することだ。もしそうなれば、個人的には橋下徹さんの最大の罪だと感じるだろう。
 とはいえ、現職の大阪市長があの場所の業者の顧問弁護士をしていたことを認めたのである。料理組合だから云々は、実は今回の橋下さんの一連の発言の中で、もっとも恥ずかしいと私は考える。いつも言っている「現場裁量」という日本国の恥部をまさに世界にさらけ出しているのである。特派員たちは、今日にでも飛田の店にあがってみるといい。「料亭」ではなく「売春窟」であることをたちまち悟るだろう。
 そのことを知らずに市長をやっていればそれは怠慢であり、知っているならば嘘をついたことになる。実態を知らずに顧問弁護士をしていたならば、それこそ橋下さんが得意な懲戒の対象ではないのか。
 つまりどちらにしても橋下さんは「詰んでいる」のである。辛うじて逃げる方法があったとすれば「守秘義務」をたてに何も語らないことだっただろう。捜査機関の名前まで出されては、大阪府警も動かざるをえなくなるかも知れない。飛田、心配だなあ。こういうことを言えるのは、私は政治的に正しいなんて立場から遠く離れ続けているからであって、ありがたいなあ。
 詰んだといえば、こちらも言わずもがなで、自分を追い込んでしまっている。
 <橋下氏/民主主義の国において、政治家の政治的責任は、選挙で審判を受けることです。ですから、私の今回の発言に対して、国民がノーと言えば、次の参院選で、維新の会は大きな敗北になるでしょう。そして、その選挙結果を受けて、党内で私自身が代表のままでいられるのかどうなのか、代表のままに就かせるのかどうなのか、党内で議論が生じると思います。>
 何もわざわざ自分をまな板の上に乗せることはないんじゃないかな。こう言われると「じゃあ追い込んでみようか」と思うのが残酷な有権者なのだ。
 橋下徹という希代の政治役者はある種の天才だった。しかし歴史に名を残す天才には必ずやはり天才的な助言者がいる。それが不在なのにバッタもんばかり周囲に集めている危うさを、私は心配してきた。何度か、私が思うところを伝えようともしてきたが、彼からの打ち返しはこれまで一度もなかった。
 選挙結果を受けて政治的責任をとるのもいいが、それでは大阪市民はどうなるのか。頼みもしない国政と世界を相手のゴタゴタにまきこまれて、結局は捨てられるのか。そこの政治的責任はまっとうすべきだと思いますよ、橋下さん。

 書くのも、晒すのも、謝るのもまあ支那人らしく派手だなあ。
 <ルクソール神殿の中国語落書き/「教育が至らなかった」子供の親が謝罪>
 http://sankei.jp.msn.com/world/news/130527/chn13052720020005-n1.htm
 記事は引くほどではないのでやめておく。問題は産経新聞がこの記事にあわせてリンクした以下の方だ。うかつにも私は見落としていて、今回の件ではじめて知ったので、落書きした支那人の餓鬼に感謝しよう。
 <日本の慰霊碑に落書き/サイパンなど×印や中国語>
 http://sankei.jp.msn.com/world/news/130404/chn13040408020003-n1.htm
 <第二次大戦の激戦地、マリアナ諸島の米領サイパンテニアン両島にある日本政府建立の慰霊碑や旧日本軍の施設跡で落書き被害が相次いでいる。政府遺骨収集団が先月、慰霊碑の「日本国政府」と刻まれた部分に×印がつけられているのを発見。旧海軍の司令部跡では、柱に中国語で「打倒日本帝国主義」などと書かれていた。地元では「尖閣諸島をめぐる日中の緊張が高まってから被害が目立つようになった」との指摘もある。>
 同様なことは実は世界中で行われているのではないか。在外工作員のみなさん、見かけたら教えて下さい。靖国神社にお参りするのももちろん大切だが、各地のこうした慰霊施設を美しく維持していくのも、英霊に感謝する私たちのつとめである。日本の誇る技術で監視カメラでもつけて、いちど現行犯で支那人なりを捕まえて世界にさらせばどうか。
 「死者に鞭打つ」支那文化を世に知らしめるべきである。

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