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2020年の東京オリンピックに向けて、東京・神宮外苑にある国立競技場が全面的に建て替えられようとしています。2012年、日本スポーツ振興センターが開いた国際デザイン・コンクールによって選ばれたのは、ザハ・ハディド氏の案でした。しかし、その計画にはあまりに問題が多いといわざるを得ません。
神宮外苑は都心のなかでも緑が豊かな美しい場所です。国立競技場がある場所も風致地区で、地区計画では建築物には高さ20メートルという規制がかかっていました。しかし、新国立競技場の設計コンクールで与えられた条件は、高さ70メートル。これは20階建てのビル以上に相当します。
さらに日本青年館、明治公園、都営霞ヶ丘住宅をも取り壊す前提となっており、敷地面積は現在の1.5倍、延べ床面積は現在の5.6倍の約29万㎡(11月26日、22万㎡に縮小案が出された)です。屋根は開閉式で、観客席は常設で8万人となっています。
あまりにも巨大な建築物です。周囲に威圧感を与え、神宮外苑の風景を一変させてしまいます。そして、都営霞ヶ丘住宅の住民に移住を強要することになります。
2 常識を超えた巨額の工事費に税金が使われます。
最優秀案は、1300億円という予算をクリアしておらず、このまま建てると3000億円になるという試算が出ています。さすがに縮小の方針が出されていますが、それにしても巨額。にもかかわらず、競技に必要なサブトラックを併設していないという問題まで発覚しています。1998年に完成した日産スタジアムは収容人数7万2000人で総工費600億円。1300億円も異例の規模です。工事費、撤去費などには結局、国民の税金が使われることになります。
3 災害時の対応やバリアフリーに対し心配です。
11万㎡の敷地に29万㎡の延べ床面積ということは、まわりに余裕がないことを意味します。北京の「鳥の巣」は、21万㎡の敷地に延べ床面積26万㎡、ロンドンのスタジアムは、16万㎡の敷地に延べ床面積10万8500㎡。万が一の場合、観客を安全に誘導することはできるのか、懸念があります。
4 東日本大震災の復興を阻害すること
東日本大震災の復興と東京電力福島第一原発事故の収束は目下、国の最優先課題。そこでは現在、職人や資材不足が大きな問題となっています。巨大な新国立競技場の建設により、この問題はさらに深刻化することが心配されます。
5 次世代に負担をかける恐れがあること
8万人を集められる競技やイベントは、滅多にあるものではありません。しかし、一度施設をつくってしまえば、メンテナンスや運営費に膨大な経費がかかります。結果として、次世代に大きな負担をかけることになります。
そこで、私たちは、1964年の東京オリンピックに使われたという歴史をもつ現在の国立競技場を改修・デザインしなおすことを要望します。
これによって、
・ 神宮外苑の景観を守る
・ 大幅なコストダウン
・ 「もったいない」という日本の美風と改修・補強技術を世界にアピールする
・ 環境と未来世代に負荷をかけない
・ 職人の手技をつたえる聖火台などを残し、1964年のオリンピックの記憶をつなぐことができます。
どうかご賛同とご協力をお願いいたします。
なお、既に上記のホームページやメールなどを通じて賛同者になっていただいている方は二重になってしまいますので、ぜひまわりの方々に広めていただけますよう、お願い申し上げます。 |
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