- 2013年10月29日 23:38
「人権弾圧」こそ中国が生き残る唯一の“道”
講演で倉敷にいる。倉敷格子や倉敷窓など、特徴的な「町屋建築」が軒を連ねる倉敷の美観地区には、不思議な魅力がある。かつて天領(幕府の直轄地)だった文化と商業の地・倉敷の風情は、やはり独特のものだ。さて、今日は、昨日起こった天安門での自爆テロ事件について、少し書いてみたい。中国共産党にとって、天安門に掲げられている毛沢東の肖像に向かって何者かが自動車で突っ込んで炎上させ、テロを敢行したという衝撃は、とてつもなく大きい。世界注視の場所で、自爆テロが起こったのだから、当然である。
私は、隠しても隠しても現われる中国共産党の人権弾圧について、どうしてもその行く末を考えてしまう。それは、日本人を徹底的に貶め、批判し、日本の領事館に投石し、日本料理店や日本車を焼き打ちする中国人が、実は中国共産党によって徹底的に弾圧されているという「現実」であり、同時にその彼らの将来を「考える」という意味である。
その中には、「西側諸国の憲政民主を宣伝し、中国の特色ある社会主義制度を否定すること」や「改革開放に疑義を抱き、中国の特色ある社会主義の性質に疑義を持つこと」などが入っていた。要するに、共産党体制に反対するような「言論」や「思想」は認めない、ということである。
これに反した朱氏は、故郷・上海に戻った後、身柄を拘束され、徹底的な思想改造を受けているというのである。遠藤氏は、ネットユーザーが「5・9億人」もいるネット空間を「静かに」させるために、「お前たちも“七つの語ってはならないこと(七不講)”に抵触するようなことをすれば拘束されるぞ」と脅すためのものだった、と指摘している。
自分の国である日本を叩き、ひたすら中国共産党の代弁者でありつづける日本の一部の新聞は、果たしてこの言論・思想の自由すら存在しない国をどう擁護していくのだろうか。8500万人の共産党員が13億人民を監視していく中国。逆に見れば、「弾圧」がなければ、すなわち思想や言論の自由が認められれば、そもそも「中国は崩壊」してしまうのである。
ソ連のゴルバチョフのように、自ら共産党独裁に終止符を打つような人物が中国に生まれるはずもなく、「弾圧」と「改革開放」という壮大なジレンマの中、中国は矛盾を抱えて歩んでいくしかないのである。国内の不満を外に逸(そ)らせるために、そんな国によって「日本」や「尖閣」が利用されるのでは、たまったものではない。