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朝日新聞研究】日本の過去を反省するなら中国にも忠告せよ ウイグル、チベット報道の疑問

朝日新聞研究】日本の過去を反省するなら中国にも忠告せよ ウイグルチベット報道の疑問

 
2014.07.12 産経新聞
 
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中国武装警察と激突するウイグルの女性たち=ウルムチ市(共同)【拡大】
★(5)

 中国で、ウイグル独立派組織によるとされる武力闘争、いわゆるテロ事件が頻発してい る。今年、多くの被害が出た事件だけでも、雲南省昆明駅での刃物による死傷事件(3月1日)、新疆ウイグル自治区ウルムチ南駅での爆弾事件(4月30 日)、同・ウルムチ朝市での爆弾事件(5月22日)などがある。

 朝日新聞も、ウイグル報道には力を入れている。7月5日はウルムチ騒乱の5周年だったが、1日と5日に、2人の記者による現地からの実情報告を掲載している。

 それによると、ウルムチでは380人に及ぶ大量拘束が行われ、300~400戸のイスラム街の取り壊しがあった。また、地方でも、ラマダン(断食月)中の開店が強制され、スカーフを付けただけで、女性が拘束されたという。

  ところで、ウイグルチベット問題は中国の人権問題と説明されるが、人権問題ならば中国全土に存在する。この問題の本質は、民族独立の問題であり、それは 中国人(漢人)による侵略問題に他ならない。中華人民共和国の領土の半分以上は、第2次世界大戦後の民族独立の時代に、モンゴル人、ウイグル人チベット 人の3民族の土地を奪ったものである。

 朝日新聞は、ウイグル問題もチベット問題も、中国人による侵略であるとはほとんど言わない。5月23日の「いちからわかる」欄で、ウイグル問題の歴史的背景を解説しているが、その年表に「49年、中華人民共和国が成立。人民解放軍が新疆に進駐」と記している。

 これは真に不可解である。
 日本の歴史問題の発端となった、1982年の第1次教科書事件は、教科書検定において「侵略」という表現が「進出」に書きかえさせられたという、 後には全くの虚偽と判明する報道から始まった。その時、熱心に政府を批判したのは朝日新聞であるから、「侵略」表現には最も敏感なはずである。

  テロとその弾圧の関係を、暴力の連鎖というが、侵略という原因があるから、ナチス・ドイツへのレジスタンス(抵抗運動)のように、結果としてテロが出現す るのである。しかも、政治的自由を全く奪い、民族文化すら禁止するのは、ウイグル人の存在そのものを否定することである。だからこそ彼らは、命を懸けて抵 抗するのである。

 したがって、その根本的解決は、侵略者が侵略を止めることである朝日新聞が日本の過去を本当に反省しているのなら、現実に侵略行為を実行している中国に対して、「1日も早く侵略を止めろ」と忠告しなければならない。

 私は、朝日新聞を読んでいて、ウイグルチベットの問題について、中国に厳しい報道をしているとは感じられない。これは、同社の唱える反戦平和主義が、いかに欺瞞であるかの明白な証拠だと思っている。 =おわり

 ■酒井信彦(さかい・のぶひこ)  元東京大学教授。1943年、神奈川県生まれ。70年3月、東大大学院人文科学研究科修士課程修了。同年4月、東大史料編纂所に勤務し、「大日本史料」 (11編・10編)の編纂に従事する一方、アジアの民族問題などを中心に研究する。2006年3月、定年退職。現在、明治学院大学非常勤講師や、月刊誌で コラムを執筆する。著書に「虐日偽善に狂う朝日新聞」(日新報道)など。