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<マレーシア機撃墜>収容遺体、親露派が奪う遺体から貴重品を奪い、盗んだクレジットカードを既に使用した

<マレーシア機撃墜>収容遺体、親露派が奪う

毎日新聞 7月20日(日)21時25分配信

 【ドネツクウクライナ東部)真野森作、キエフ篠田航一、ワシントン及川正也、ブリュッセル斎藤義彦】乗客・乗員298人が犠牲になったマレーシア航空機撃墜事件で、ウクライナ当局の救助隊は20日までに墜落現場から犠牲者196人の遺体を収容した。親ロシア派武装集団がこの遺体すべてを奪い、保冷装置付きの貨車に運んだ。親露派は「国際調査団が来るまで保管している」と主張しているが、貨車がロシアとの国境方面へ向かうとの情報もある。

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◇「現場保存のため」

 ウクライナ国家安全保障・国防会議のルイセンコ報道官は19日、親露派武装集団が証拠隠滅の目的で「38体の遺体を持ち去った」と述べ、批判していた。親露派は遺体から貴重品を奪い、盗んだクレジットカードを既に使用した形跡もあるという。


全欧安保協力機構(OSCE)によると、現地入りしているOSCE監視団は19日、墜落現場で「攻撃的で酔った」親露派武装集団から「限定的な立ち入り」しか認められなかった。

キャメロン英首相、メルケル独首相、オランド仏大統領は20日、電話協議し、「ロシアが親露派に対処しなければ対露追加制裁の準備を進める必要がある」との認識で一致した。

ケリー米国務長官は20日、米CNNに対し、OSCEの活動が制限されていると指摘したうえで、親露派による遺体搬送について「現場の証拠保全を妨げようとしている」と批判した。

犠牲者が最も多かったオランダのティメルマンス外相は、略奪報道に「オランダ国民は怒り、憤慨している」と述べた。ウクライナのポロシェンコ大統領は19日、ポーランドコモロフスキ大統領と電話で協議し、「テロリストは撃墜に続き犠牲者の冒とくという二重の国際的犯罪を行った」と述べた。

一方、「ドネツク民共和国首相」を名乗る親露派指導者、ボロダイ氏は20日、ロシアのラジオ局「モスクワのこだま」に対し、196人の遺体を「保冷施設に移した」と認めた。また、「(航空機の飛行状況や音声を記録する)ブラックボックスらしきものを発見し、ドネツク市内に運んだ。ウクライナ政権側に渡さないが、国際的な専門家が到着すれば渡す」と述べた。

仮に遺体や遺品がロシア領内に運ばれた場合、事故調査が困難になるのは確実だ。ウクライナ当局による捜索対象の現場は25平方キロに及び、これまでに18平方キロの捜索を終えたが、親露派の妨害で機体や遺体の収容作業は難航している。

現場は日中25度近くとなり、遺体の収容は急務。ドネツク州東部グラボボ村の墜落現場では、マレーシア機の残骸が散らばる地域が広範囲にわたっており、全容をつかむのは難しい。現場一帯で政府軍と親露派武装集団の戦闘が散発している模様だ。