TV通販、必ず売れるはずじゃ… 注文ゼロでトラブルも
小寺陽一郎
2015年1月6日22時12分
テレビの通販番組に出品すれば必ず売れると言われたのに全然売れない――。こんなトラブルが増えているという。どんな番組なのか。見て、注文してみた。
■出品者困惑、注文1件だけ
「良い生活を送れるようなすてきな商品をご紹介する番組です」
午前3時。四国の地方テレビ局で昨夏放送された番組は女性のナレーションで始まった。約30分間で3千~4千円の菓子や化粧品など16商品が登場、「こだわり」「逸品」などのナレーションが繰り返される。3200円の干物を買うため表示された番号に電話すると、男性に住所と電話番号を聞かれた。数日後、干物の会社から電話があった。「注文はおたくだけです」
出品していたほかの食品2社に取材したがいずれも注文はゼロ。映像を見た地方テレビ局関係者は「商品が慌ただしく紹介され特徴が全然伝わってこない」。番組には販売元として札幌市の住所が示され登記簿上も通販会社がある。訪ねると、そこはレンタルオフィスのビルで、会社は存在しなかった。
ビル一室にあるレンタルオフィスの担当者によると、2013年秋から月額4千円で住所だけ貸していたが、14年春ごろに連絡が途絶えたという。住所に実態がないことになり、特定商取引法に違反する疑いがある。担当者は「通販会社とトラブルになっているという弁護士からの連絡が何度もあり、迷惑だ」と言った。
■深夜の番組、30万円支払う
取材を続けると、この会社の関係者の男性に会うことができた。「地方の10局ぐらいで放送した」と言い、営業実態を明かした。
出品者からもらう放送料金は、120秒の2回放送、映像制作費込みで約30万円。歩合制の社員3~4人で、検索サイトに「ビール つまみ」などと打ち込み200~300位あたりに表示される業者を狙い電話で勧誘するのだという。
大阪府の菓子店経営の女性(35)も昨年、この通販会社から「スイーツは大変人気の商品。300セットは絶対売れる」と言われ、約20万円を払って2千円のプリン5個セットを出品。番組は2月と7月に西日本の2局で深夜に放送されたが、受注はゼロだった。女性は「絶対に売れると言われたのに一つも売れないのはひどい」。
男性によると、地方局の深夜帯は30分枠を50万円程度で買える。局の規模によってはさらに安いという。仮に出品15社から30万円ずつ集めれば計450万円。2回放送し、制作費に50万円かかっても約300万円はもうかる計算だ。実績のある映像制作会社などを仲介して放送を依頼していたという。「テレビで通販番組を流すのはかつてより簡単なのに、視聴者は気づいていない。その認識の差を利益に変えていた」
■安い放送枠、制作側に利益
同協会の八代修一・消費者相談室長は「通販では年齢や性別など明確なターゲットを決めないと売り上げは伸びない。放送地域や放送時間帯によっても売れ行きは大きく違う」と話す。
記者が見た番組を放送したのは、確認できただけで3系列六つの地方局。西日本のテレビ局関係者は、番組内容には問題ないとする一方、「事前に通販会社の登記簿や他局との取引実績などは調べるが、主眼は料金を回収できるかどうか。商品がどう集められたかは調べなかった」。
関係者は「視聴率は見込めないのに枠は売れる深夜の通販番組は、言葉は悪いが『不用品の買い取り』のようなもの」。出品業者から苦情があった通販業者との契約はやめたが、すぐ別の業者から同様の通販番組のオファーを受けるという。
「問題のある業者の番組を放送することで、『お墨付き』を与えてしまった。テレビ業界の信用を落とすことにもなるので、真剣に対策に取り組まないといけない」(小寺陽一郎)
ー>違う テレビが利権に成り代わっていることを! テレビと新聞社が完全に分かれることを! 本当にテレビメディアが開放されているのか?
を 読者に伝えなければならない
これは 「詐欺」 であるとナゼいえない??