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◆城管(ツェン・グワーン)――弱者をいたぶる凶暴組織


遠藤誉氏のブログより

◆城管(ツェン・グワーン)――弱者をいたぶる凶暴組織

公安改革の第二の目玉は、「7」にある「警察業務補助人員管理の規範化」である。

これは基本的に「城管」のことを指していると考えていいだろう。

城管とは「城市管理行政執法局」で働く役人のこと。「城市」とは都市のことである。一般に「城管」は「都市管理に当たる役人」のことを指す。

「城管」という業務は、改革開放が進むにつれて、それまでの管理系統では決めにくい、都市における雑多な業務が増えてきたことから生まれたもので、実は中央が管轄する命令系統にはない。各地方政府が、それぞれの状況に応じて指揮系統や業務内容を決めていた。

業務内容としては、「公道あるいは公共施設の使用法」、「環境衛生」(ゴミ処分)、「営業証の有無」(特に露天商)、「駐車違反」、「白タク(黒車)」……などに関する取り締りがある。

たとえば、店舗を構えるお金は言うに及ばず、営業許可証を申請するお金もなない底辺層の者が、町なかで焼きトウモロコシの露店商を始めたとする。すると不法営業だということで地元政府の工商局が取り締ろうとする。煙を出すからというので、同じく環境庁が干渉してくる。道端に手押し車を置いているので、交通の邪魔だという理由で交通局が動く。あるいは公道を私用目的で使ったという論理も成り立つだろう。その他、もろもろの規制がかかり、一人の露天商に地元政府総動員で動かなければならないことになる。

そこで「城市(都市)を総合的に管理する」という「雑用役人」が生まれる結果となったわけだ。これら雑多なものが対象となり始めてから、「城市管理」は現在の「城管」という凶暴集団へと変貌していった。「城管」の横柄振りと激しい暴力に、怒りを覚えない人民は一人もいないと言ってもいいほど、全人民に嫌われるようになっていく。

最近では携帯で手軽に[画像]が撮れるので、その横暴さ残虐さは、毎日ネットにアップされている。年間20万件に上る抗議運動の多くは、この「城管」の凶暴さにあると言っても過言ではないだろう。

暴力を振るわれる対象のほとんどは底辺層だ。城管は弱者を虫けらのように虐めまくり、叩きのめし、死に至らしめるのである。あるいは金を巻き上げて見せしめとする。

城管は「冷酷な凶暴さ」がなければ務まらないので、いきおい、暴力団や出獄したばかりの凶暴犯などが雇用されることが多く、やりたい放題の暴力を振るってきた。

これは人民警察とは違い、「7」にあるように「警察業務補助人員」なのだが、これがまた、周永康が張り巡らしたマフィア集団のようなネットワークと癒着し、横暴と腐敗で全中国を覆っている。

この凶暴組織を「規範化」させるというのが公安改革の目的の一つだ。公務員などとして受験させ、合格した者を採用するということにするつもりだろうが、改善を期待できるとは思えない。

以上が今般の公安改革の正体だ。

もう「国を変えるしかない」ほどの災禍を周永康は残し、習近平を窮地に追いこんでいるのである。

もっとも、一党支配体制をやめない限り、何をしようと実は改善されないのだが……。

なお、城管関係は、2013年度のワースト中国人番付の「クズ集団」編で、遼寧省瀋陽市が第4位に、吉林省延吉市が第16位にランクインしている(2014年1月1日発表)。

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授、内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。著書に『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 完全版』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『完全解読 「中国外交戦略」の狙い』など多数。

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