目を引くのは、英南東部で計画中の原発に中国の原子炉を導入することが決まったことだ。先進国が中国の原発を採用するのは初めて。インフラ輸出に力を入れる中国が、先進国の原発市場でも強固な足がかりを築いた格好だ。
中英両首脳は経済面での成果をアピールしたが、政治面での成果は印象が薄い。ただ、習主席が足元の中英関係を「黄金時代」とたたえたのは、決して経済的な視点だけからではない。
キャメロン首相は2012年、訪英したダライ・ラマ14世と会談し中国の強い反発を招いた。その後、経済界からの突き上げもあって対中政策を大きく転換し、今年はじめには主要先進国(G7)のなかで先陣を切って中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)参加に手を挙げた。
こうした実利優先の姿勢には英国内で批判が出ている。米国からも不快感を伝える声が聞こえる。それでもキャメロン政権は中国への傾斜を鮮明にした。
中国からみればG7にくさびを打ち込んだとも評価できよう。その外交力がもたらす影響は改めて注目しなければならない。