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睡眠6時間以下の人は死亡率が2.4倍に不足を補うには「コーヒー+昼寝」で

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睡眠6時間以下の人は死亡率が2.4倍に

不足を補うには「コーヒー+昼寝」で

2015年12月18日(金)伊藤 和弘

 WHO(世界保健機関)の「世界保健統計2015」によると、平均寿命84歳の日本は世界一の長寿国。しかし男女別に見ると、女性は第1位なのに対し、男性は第6位で、意外なことにベスト5にも入っていない。
 現代の日本で本当に「アンチエイジング」が求められているのは、健康に対する意識の高い女性よりも無頓着な男性のほう。男こそアンチエイジングが必要なのだ!
 今回のテーマは「睡眠」。日本人は世界的に見ても睡眠時間が短いが、睡眠不足は決して侮れない。睡眠時間が短いと生活習慣病うつ病のリスクが高くなり、寿命を縮めることが分かっている。特に6時間を切ると要注意だ。
 しっかり眠り、元気に毎日を過ごすためにはどうしたらいいのか? 具体的なテクニックを睡眠研究の第一人者に聞いた。

「眠り」は最高のアンチエイジング

 日本人は睡眠時間を削るのが大好きだ。「四当五落」や「惰眠をむさぼる」などという言葉もあり、寝る間も惜しんで働くことが美徳とされてきた。
 実際、日本人は世界的に見ても睡眠時間が短い。2011年のOECD経済協力開発機構)の報告では、加盟28カ国中、日本はノルウェーに続いて2番目に睡眠時間が短かった(表参照)。NHKの「国民生活時間調査」によると、とりわけ40~50代は短く、平均7時間を切っている。
 徹夜でがんばることには独特の高揚感がある。しかし後から振り返るとミスも多く、効率が悪いことは、誰もが経験上、分かっていると思う。
 睡眠不足だとうまく頭が回らないのは、決して気のせいではない。「睡眠時間が5時間を切る日が続くと、脳はチューハイを数杯飲んだときと同じくらい機能が低下する」と、睡眠研究の第一人者として知られる睡眠評価研究機構の白川修一郎代表は指摘する。
 それに留まらず、「睡眠不足は体を壊す」ことが疫学的にも確認されている。
 まず、免疫力が落ちる。5万6953人の女性を対象にした調査によると、睡眠時間が5時間以下の人は8時間前後の人たちに比べて1.39倍、肺炎になるリスクが高かった(Sleep. 2012 Jan 1;35(1):97-101)。
 人の身体は、運動や活動によって疲労したり、細胞にダメージを負ったりするが、睡眠中に成長ホルモンが出てそれらを修復するようにできている。睡眠不足だと、成長ホルモンの分泌が少なくなるため十分な修復が行われず、その結果、老化が進む。
 また、脂肪や糖の代謝が悪くなり、交感神経の緊張が続くため血圧も上がる。実際、睡眠時間が6時間以下の人は肥満、糖尿病、心臓病の有病率が高い(Sleep. 2013;36(10):1421-7)。さらに、「うつ病、事故、自殺のリスクも高くなる。睡眠時間が6時間を切るのはたいへん危険」と白川代表は注意する。
 4419人の日本人男性を調査した自治医科大学の研究から、睡眠時間が6時間以下の人は7~8時間の人に比べて死亡率が2.4倍高くなるという報告もある(J Epidemiol.2004 Jul;14(4):124-8)。
 睡眠不足は老化を進め、寿命を縮めるというわけだ。「よく眠る」ことは立派なアンチエイジングであり、サプリメントなんかよりも大きな効果が期待できるし、お金はかからない。どんなに忙しくても、なるべく睡眠時間は削らないようにして、6時間以上眠ることを心がけてほしい。

ナイトキャップはNG。昼寝の前にはコーヒーを

 睡眠では、時間の長さとともに「眠りの質」も大事だ。「眠りの質」を上げるためにはどうすればいいのだろう? 白川代表に聞いた。

1. 酒、タバコ、コーヒーを控える

 コーヒーや紅茶に含まれるカフェインが眠りを妨げるのは常識。タバコのニコチンには興奮作用があり、同じく入眠を妨害する。アルコールは眠気を誘う気がするが、「寝つきは良くなるが、夜中に目が覚めやすい。レム睡眠(深い眠り)が減り、交感神経が興奮するので翌日に疲れが残る」と白川代表は話す。

2. 運動は朝よりも夜がいい

 運動は朝よりも夜がいい。白川代表によると、「人間の体温は就寝から19時間後に最も高くなる。このとき運動してさらに体温を上げると、眠るときの体温の下がり方がより大きくなって熟睡しやすくなる」という。午前1時にベッドに入るなら午後8時前後ということ。帰宅時に最寄り駅より1駅手前で降りてウオーキングを行うのも有効だ。

3. 寝る前にパソコンやスマホを見ない

 夜になると、脳の松果体から眠気を誘うメラトニンというホルモンが出る。パソコンやスマートフォンのLEDが出すブルーライトメラトニンの分泌を抑え、眠気を追い払ってしまう。朝は窓を開けて太陽の光を浴びよう。メラトニンの分泌が抑えられ、体内時計を正常化してくれる。

4. 就寝前の入浴はぬるめのお湯で

 就寝前に入浴する場合、40℃ぐらいのぬるめの風呂にゆっくりと浸かるのがいい。熱い風呂は交感神経が興奮して目が冴えてしまう。どうしても熱いお湯に入りたい江戸っ子気質の人は、就寝2時間前までに済ませてほしい。

5. 睡眠時間を確保できないときは昼寝でフォロー

 仕事が忙しく、夜の睡眠時間が確保できないときは昼寝で補うといい。30分以上眠ると夜の睡眠が浅くなってしまうので、10分から20分を目安にしよう。
 意外な裏ワザとして、昼寝の直前にコーヒーを飲むという方法がある。飲んでから20~30分後にカフェインの効果が表れるので、すっきり目が覚める。
 「20分間の昼寝をした後の眠気」は「洗顔」や「光を浴びる」ことでも取れたが、「昼寝直前にコーヒーを飲む」のが最も効果が高かった(Clin Neurophysiol. 2003 Dec,114(12):2268-78)

生活習慣病を引き起こし、老化を進めるSAS

 最近は睡眠時無呼吸症候群(以下SAS=Sleep Apnea Syndrome)が注目されている。その名の通り、眠っているとき呼吸が止まってしまう病気で、「10秒以上の無呼吸・低呼吸(呼吸停止)が一晩に30回以上、または1時間に5回以上あり、昼間の眠気など自覚症状を伴う状態」と定義される。
 国内の推定患者数は約500万人。中枢神経に原因がある「中枢型」もあるが、ほとんどは睡眠中に気道がふさがって息ができなくなる「閉塞型」だ。特に40~60代の太った男性に多い。
 苦しくなれば自然に呼吸を再開するが、眠りが浅くなるため、昼間も眠気が取れない。SASが原因の交通事故も多発しているし、生活習慣病にもつながる。「血液中の酸素が少なくなるので交感神経が優位になって血圧が上がり、インスリンの感受性が悪くなって糖尿病にもなりやすくなる」と虎の門病院(東京都港区)睡眠呼吸器科の成井浩司部長は指摘する。
 実際、同病院で751人のSAS患者を調べると、63.8%が高血圧、51.1%が脂質代謝異常、17.7%が糖尿病を合併していた(グラフ参照)。
 前に触れたように、眠りが浅いと老化も進む。熟睡時に分泌される成長ホルモンには脂肪を分解し、細胞を修復する作用があるが、SASで熟睡できないとガクンと分泌量が落ちる。そのため体脂肪もたまり、老化も急ピッチで進んでしまうわけだ。
 若さと健康を保つためには、安眠を妨げるSASは放っておけない。いびきが大きければ要注意。気になる人は検査を受けてみよう。
 日本睡眠学会のホームページでは、2015年11月現在、全国496名の認定医リストを公開している。この中から近所の医療機関を選べばいい。
(次回に続く)