パルデンの会

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スリランカ、南の要衝ハンバントタ港をついに中国へ明け渡すはめに   80億ドルの負債の担保、99年の租借を承認へ



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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)12月12日(火曜日)
        通巻第5544号   <前日発行>
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 スリランカ、南の要衝ハンバントタ港をついに中国へ明け渡すはめに
  80億ドルの負債の担保、99年の租借を承認へ。

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 麻生財務相が「中国のAIIBはサラ金のようなもの、どえらい借金を背負い込むことになる」と警告したが、意味の分からない日本人が多かった。非道い喩えだと批判の声もあった。
いまの若者は知らないが、一昔前の高利貸しって身ぐるみを剥がし、女房や娘がいたら女郎屋に売り飛ばす阿漕さを伴った。


 スリランカはうっかり中国からプロジェクトを持ちかけられて乗った。たちまち中国からの融資が返済できなくなると、突如、金利等の諸条件が変更され、高利の上乗せと借金合計に対して新しい金利が課せられ、雪だるまのように膨らむ仕組み。
 もともとそうやって中国の究極の狙いは担保権の行使なのだ。アフリカの各地で原油鉱区、レアメタル鉱区、農地の借地権など、ほとんど同じ手口だ。

 コロンボ沖合に建設中だった人口島と新都市建設は、新政権になって一度断ったのだが、すでに建機、セメント、鉄骨が陸揚げされていて、中止の場合の契約条項には、その間も金利が上乗せされる項目があった。一年の逡巡のすえ、スリランカ政府は工事再開に応じたのも、一日遅れると数万ドルの罰金が科せられるためだった。

 南のハンバントタ港も、港湾工事、浚渫工事、免税特区の建設などが謳われ、うっかり地元政府は薔薇色のシナリオに乗せられて80億ドルを借りた。「借りた」という感覚はたぶんなかったのだろう。スリランカ中国企業との合弁が基本契約だったのだから。
 しかし常套手段のように建材・建機・セメント鉄鋼など資材はすべて中国からやってきて、労働者も中国から派遣され、地元には何一つ還元されず、いつしか中国の潜水艦が寄港しており、地元の怒りは爆発して反中国暴動が起きた。

 しかし、契約を吟味し直すと、地元政府は中国に合計80億ドルもの負債を背負っていることになっていた。
 12月9日、致し方なく、負債棒引きを条件にスリランカはハンバントラ港の管理運営権を中国に99年間貸与するとした。要衝の港を明け渡したのである。

 この手口は同様にアジアからアフリカ諸国に対して行われており、12月9日のヤミーン大統領の北京訪問で、モルディブは合計12のプロジェクトに合意した。
いずれ工事遅れなどでプロジェクトが挫折した場合、中国ではなく、当該国が負債を背負うかったちになっていると気がつくことになるだろう。

 だから麻生財務相の喩えた「サラ金というのは徹底的に甘い譬喩でしかない。本質は「阿漕な高利貸し」が「マフィアと組んでいる」と表現したほうが実相に近い。

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