パルデンの会

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中国BRIの一環「ピレウス港周辺近代化プロジェクト」は暗礁に


宮崎正弘先生独演会「余命半年の中国・韓国経済」を7/13 
参加予定

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)7月9日(火曜日)
        通巻第6134号  <特大号>
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 ギリシア親中派チプラス政権が崩壊。保守が奪回した
  中国BRIの一環「ピレウス港周辺近代化プロジェクト」は暗礁に

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 ギリシアで7月7日に行われた総選挙の結果は、予想通り保守が圧倒的な支持を受けて勝利し政権を奪回した。
親中派だったチプラス左翼政権は崩壊した。

ギリシア国会は定数300。これまで野党だった新民主主義党(ND)は単独過半の158議席を獲得、チプラス率いた極左政党は8議席と「大差」がついた。
 国民の不満はチプラス政権が公約を果たせず、いたずらに緊縮を叫んで国家財産を売却、そのなかにはピレウス港の運用権を30億ドルで中国に売却し、「国家安全保障の根幹である港湾を外国資本に売り飛ばすとは何事か」と批判が強まっていた。

それでもチプラス政権はEUの緊縮財政勧告にしたがって、辛うじて財政危機を脱したものの、かえって失業が増大し、有権者は左翼政党のポピュリズムに失望していた。保守回帰を果たしたギリシアの新政権はND率いるミツォタキスが、7月8日、大統領府で宣誓式に臨み新首相に就任した。

 チプラス前首相は2019年5月にも、中国が突如開催した「文明対話」に参加するため嬉々として北京へ飛んだ。ところがほかのどの国からもVIPは参加しておらず、赤恥をかかされ、ギリシア国民は失望した。

 ピレウス港は中国が管理し始めと、不正インボイス、人間の密輸などが問題視され、欧州議会が警告した。不法入国、密輸、出鱈目なチェック、いかにも中国人がやりそうなことでだが、中国の不法移民がコンテナに潜み、夜中に上陸すると、ギリシアからEU域内へはどこへでも移動の自由の対象となる。

 さてミツォタキス保守政権になると、ピレウス港はどうなるのか?
 中国の国有企業COSCOは新たに17億ドルを投じてクルーズ船ターミナル増設工事の青写真を提示していた。これはピレウス港一帯を一大商業地区として、豪華ホテルも建設するなど、グランドデザインは薔薇色だった。しかし中国の「借金の罠」に陥没した国々の地獄をみてきただけにミツォタキス保守政権の懐疑心は深まるだろう。。

 ギリシアは貧乏とはいえ、歴史を誇りとしている。
 中国の開発計画青写真のなかで、プロジェクトが予定される地区のおよそ半分がギリシアの考古学的遺跡という事実が判明した。

ギリシア考古学会がプロジェクトへの反対声明をだすに及んで中国が進めてきた計画は暗礁に乗り上げた。
 

ギリシアイリアス神話以来の考古学的遺物、遺跡を破壊する北京のドル外交に屈服して良いのか」

というナショナリズムが高まる
 なにしろ歴史的な神話を誇りとするギリシアは、この点になると意固地になり、財政危機においても、EUとの交渉で粘りに粘った。

 チプラス政権の崩壊は地響きをもって北京に跳ね返り、BRIの次のプロジェクトは、ギリシアでも暗礁に乗り上げたようである。

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