共和党大会 米国務長官が異例の演説
コロナ追及「中国が死と経済破壊拡散」
ポンぺオ米国務長官は25日、2日目の共和党大会でビデオ演説を行い、中国に対する強硬策やイスラエルとアラブ首長国連邦との国交正常化合意などトランプ大統領の政策を称賛した。中東アフリカ歴訪中のポンペオ氏は、演説をイスラエルのエルサレムで収録。トランプ氏の支持基盤で、親イスラエルのキリスト教福音派にアピールした。
エルサレムで収録
国務長官が政党の集会に出席することは異例で、野党民主党などから「上院で承認を受けた大統領任命の職員は政党の大会には参加しない」と定めた国務省の内規に違反する可能性があると批判されている。
ポンペオ氏は対中国政策について、トランプ氏が「中国共産党の略奪的な攻撃性を明らかにした」と指摘。中国が新型コロナウイルスを隠蔽(いんぺい)し、米国や世界に死と経済の破壊を拡散した責任をトランプ氏が追及したと訴えた。
ポンぺオ氏はまた、トランプ氏が北朝鮮指導部を交渉のテーブルに引き出すことで「核・長距離ミサイル実験を停止させ、米国人捕虜を帰宅させた」と強調。中東政策については、エルサレムをイスラエルの首都と認定し、米国大使館を移したことやイラン核合意からの離脱を成果として主張した。
一方、大統領選の民主党候補バイデン前副大統領の陣営は声明で「税金の乱用だけでなく、国務省の重要な任務を損なうものだ。米国の外交官は、米国を代表しているのであって、政党ではない」などと非難した。
こうした批判に対し国務省はポンぺオ氏が個人的な資格で参加し、費用も同省は負担していないと説明した。ポンぺオ氏は2024年の大統領選に出馬することも取りざたされており、党大会への出演は、こうした将来をにらんだ動きともみられている。
大会ではまた、トランプ大統領のメラニア夫人がホワイトハウスのローズガーデンで演説し、感染が拡大する新型コロナについて「私の夫の政権は、効果的な治療法やワクチンがすべての人々に行き渡るまで戦いをやめない」と夫の取り組みをアピールした。
トランプ氏はこの日、かつてネバダ州で銀行強盗の罪で受刑中に信仰により改心し、今では元受刑者の社会復帰を支援する団体を運営する黒人男性に完全な恩赦を与えた。
大会ではホワイトハウスで事前収録された映像が流され、トランプ氏が「私は、元受刑者を含むすべての米国人に、新しい人生を築き、アメリカンドリームを達成するための最良の機会を与え続ける」と述べ、受刑者の社会復帰を後押しする姿勢を強調した。
(ワシントン 山崎洋介)