【黄文雄】世界で相次ぐ中国のジェノサイド認定と日本のギャップ
【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」】
黄 文雄(文明史家)
◆米国、カナダ、オランダが中国のウイグル人弾圧を「ジェノサイ
オランダの下院は2月25日、中国の新疆ウイグル自治区でウイグ
ていることを非難する決議を採択しました。このような決議はヨー
これで今年に入り、1月にアメリカがジェノサイド認定、さらに2
を非難する決議を採択したのに続いて、3例目となります。
もちろん中国は反発し、在オランダ中国大使館は、ジェノサイドは
アメリカは昨年6月、ウイグル弾圧に関わった中国当局者の資金凍
る「ウイグル人権法」が成立しました。またイギリスでも、ウイグ
ら排除するため、「現代奴隷法」を強化し、ウイグル弾圧に関わっ
規制を強化しつつあります。
日本では、2月22日、ファーストリテイリングやソニー、日立製
弾圧への関与が確認された中国企業との取引を停止する方針を固め
とはわかっていません。
ウイグル問題をはじめ、中国の人権侵害をスクープし続けているの
イプされたとするウイグル人女性たちの証言を放送し、世界的な話
◆中国のウイグル弾圧を「ジェノサイド」とは認めない日本の外務
一方で、日本ではウイグル問題を報じるマスコミやテレビはほとん
のウイグル弾圧を「ジェノサイド」とは認めませんでした。
今年1月19日にアメリカ政府は中国のウイグル弾圧を「ジェノサ
行われた自民党外交部会で、外務省の担当者が「日本として『ジェ
たことを、毎日新聞が報じたのです。
そしてその直後、中国メディアが「日本政府は新疆ウイグル自治区
いと表明した」と報じました。中国に発言を利用されてしまったわ
こうした日本の態度に、日本ウイグル協会からも批判が出てきてい
会からヒアリングを行いましたが、同協会副会長のレテプ・アフメ
定する国が間違いなく増える。そうした中で日本だけが何もしない
日本人の国民が見たくない光景だと思う」と述べています。
◆モンゴル語教育停止はモンゴル文化抹殺というジェノサイド
中国の少数民族弾圧は、チベットや内モンゴル自治区でも続いてい
停止されました。その理由は、モンゴル語は科学技術や中国流の思
T時代にふさわしいからだといいます。
しかし、私がいつも主張しているように、中国語こそ近代科学や近
そのため、19世紀から20世紀にかけて、中国は大量に和製漢語
欧の科学や思想を漢語に翻訳したことで、漢字文化圏に大きな影響
民主主義、哲学、哲学、文化、自由、革命、共産主義、理性、宗教
「中華人民共和国」の「人民」も「共和国」も和製漢語です。中国
り、和製漢語がなければ中国は成り立たないほどです。
中国語が近代の概念を理解できるのは、日本語をベースとした和製
ある漢字と、表音文字であるカナを組み合わせることで、深い意思
表意文字だけの中国語では、意味が曖昧となり、論語にしても注釈
解説つけくわえていくことが続きました。また、表音文字のハング
意味が非常にわかりづらくなっています。
それはともかく、モンゴル語が科学技術や中国流の思想道徳に向い
ル文化を根絶やしにしたいというのが中国の本当の意図です。文化
う。
◆チベット文化も抹殺する中華思想
チベットなどは、宗教指導者さえも中国政府によって消されてしま
ェン・ラマは、ダライ・ラマ同様に転生を繰り返しているとされ、
た子供をチベット中から探し、ダライ・ラマによって新たなパンチ
「転生霊童」といいます。
1995年、ダライ・ラマ14世は、ゲンドゥン・チューキ・ニマ
た。ところが中国政府はこの認定を認めず、別の子供を「真のパン
しました。
昨年5月、中国政府はこのニマさんが大学を卒業して就職している
れることを望んでいないと強調しました。
もともと神仏を信じない中国共産党が転生霊童を選ぶということ自
ットの文化をバカにし、抹殺しようとする行為なのです。
中国は多様な文化など絶対に認めません。「大一統」こそが中国人
とするのが中華思想なのです。
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台湾の声