パルデンの会

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工場の不審火、信号機メーカーのトップの京三製作所でも不審火で工場の倉庫が燃え、納入機器が破損した。

 

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半導体工場火災の続発で囁かれる「中国犯行説」は、陰謀論で片付けられるか

窪田順生:ノンフィクションライター

国際・中国 情報戦の裏側

2021.4.8 4:20

 

 

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半導体工場火災の続発で、耳を疑うような陰謀論が囁かれている(写真はイメージです) Photo:gettyimages

旭化成に続いてルネサス

半導体工場火災の続発はなぜか

日本の「ものづくり」の心臓部から、相次いで火の手が上がっている。

昨年10月の旭化成マイクロシステム延岡事業所に続いて、先月19日にはルネサスエレクトロニクスの那珂工場でも火災が発生。自動車、スマホなどで半導体は必要不可欠な存在なので、当然これらの火災のインパクトは大きく、すでに自動車メーカーは減産を余儀なくされている。

そこで気になるのは、なぜここにきて半導体工場の火災が相次いでいるのかということだろうが、ものづくりの現場や専門家から聞こえてくるのは、「日本の工場、火災に弱い説」だ。

何やら半導体工場ばかりで火災が起きているような印象を受けるだろうが、実は実態としては、「工場」全体で火災が頻繁に起きている、と言った方が正確だ。

東証の適時開示情報閲覧サービス(TDnet)で企業が発表した工場の火災事故は4年間で22件。特に20年は8件と過去3年(4~5件)を上回る。消防庁の調べでは19年の鉄鋼や化学の工場や倉庫などを含む危険物施設の火災事故発生件数は218件と09年比3割強増えた。同庁は「全体の施設数が減少しているにもかかわらず、高水準で推移している」》(日本経済新聞2020年12月8日)

コロナショックで製造業の人員削減が進んでいたことも影響をしているのか、昨年に限っていえば、なんと1カ月半に1回のペースで上場企業の工場火災が起きていたことになるのだ。

では、なぜこれほどまでに日本の工場は出火しやすくなってしまったのかというと、「老朽化」を挙げる人が多い。「ものづくり大国」として全国に工場がボコボコ建てられた1980年代から、40年が経過している。人間でも40を過ぎたあたりから急にあちこちにガタがくる。それと同じで、工場も老朽化によって、作業員たちの気づかないところで機器トラブルなどが発生し、火災につながってしまったのではないかというのだ。

 

貼り付け元  <https://diamond.jp/articles/-/267790?utm_source=daily_dol&utm_medium=email&utm_campaign=20210408>

 

確かに、旭化成マイクロシステムの資料によれば、延岡事業所の操業は1993年10月。今回火災が起きたルネサス那珂工場N-3棟は、もとを辿っていけば日立製作所那珂工場N-3棟で、建設に関わった鹿島建設のホームページによれば、竣工は「1997年」とある。お世辞にも「新しい」とは言い難い工場だ。

それに加えて、現在の半導体工場が置かれた厳しい環境も、火災の要因の1つではないかという指摘もある。トランプ前大統領による、対中国制裁に端を発した世界的な半導体不足を受けて、旭化成マイクロシステムもルネサスも工場の稼働率を上げていた。要するに、「かなり無理をしていた」のである。

増産に明け暮れて

「心の余裕」がなくなるリスク

それがうかがえるのが、火災の1カ月前に見られたルネサス那珂工場の「奮闘ぶり」だ。

2月13日に発生した地震によって、那珂工場では半導体製造に欠かせないクリーンルームが停電、安全確認などで操業を停止した。しかし、なんとわずか2日あまりで操業再開に漕ぎ着けたのだ。危険なガスや薬剤が使われる半導体工場においては、この安全確認はかなり早い部類で、当時メディアは「東日本大震災の教訓を生かした」などと称賛した。しかし実は、じっくりと安全確認をしているほどの余裕がなかったという側面もあるのだ。

ルネサスは、急激な半導体需要の高まりを受けて生産量を増やすため工場の稼働を高めていた」「那珂工場の操業停止は、長期化という最悪のシナリオはひとまず避けられた。もっとも、数日ながら遅延した生産分を取り戻すのには時間がかかりそうだ」(ロイター2月18日)

皆さんも我が身に置き換えて想像をしてほしい。急激に生産量を増やしてかなりパツパツだったところに、地震によって数日、操業が停止してしまった。この遅れをどうにかして取り戻さなくてはいけないと、現場はかなり焦るはずだ。

自動車メーカーなど、半導体を今か今かと待ちわびているお客さんも多いので、当然上からのプレッシャーも日増しに高まっていく。こうなると現場は、とにかく増産、増産、増産の毎日で、「心の余裕」がなくなってしまわないだろうか。

 

貼り付け元  <https://diamond.jp/articles/-/267790?page=2>

 

あくまで一般論ではあるが、こういうときに工場の事故や火災のリスクが高まるのではないか。現場に平時と異なる重い負担がかけられたことで、平時では起こり得ない見落としなどのヒューマンエラーが発生してしまう恐れがあるのだ。

つまり、最近続発している半導体工場の火災というのは、施設や機器が老朽化していることに加えて、世界的な半導体不足で急激に現場に負荷がかかったことが重なって起きた「不幸なアクシデント」という可能性もあるのではないか、という指摘もあるのだ。

安全保障の専門家たちがささやく

「中国犯行説」を全否定できない理由

一方、サイバーセキュリティや国家安全保障を専門とする人たちからは、耳を疑うような仰天情報も飛び出している。それは「中国犯行説」である。

アメリカ政府も公式に言及する「中国からのサイバー攻撃」と同様に、これらの工場にも外部から何かしらの攻撃が加えられたことで、人為的に火災が発生させられたというのだ。

「いやいや、ゴルゴ13の読み過ぎだって」と失笑する方も多いだろうが、米マサチューセッツ工科大学でサイバーセキュリティの研究にあたり、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)などの著書がある国際ジャーナリストの山田敏弘氏によれば、すでに外部からのサーバー攻撃によって電力会社のシステムがダウンしたり、核燃料施設で爆発が起こったりしているというのだ。

と聞くと、「中国がハイテク覇権争いで競い合っているのはアメリカなどの国なのだから、わざわざ日本の半導体工場を攻撃するメリットなんかないだろ」というご指摘もあるだろう。

確かに、かつて世界シェアの半分を占めていた日の丸半導体も、現在は数%までシェアを落としている。ドイツやアメリカの半導体の足を引っ張るというのならいざ知らず、放っておいても弱っていく者をわざわざ攻撃するわけがない、というご指摘はごもっともだ。

が、それでも筆者の頭の中では、この「中国犯行説」を全否定できない部分がある。ルネサスなどの火災によって、今、中国が喉から手が出るほど欲しいということで、多方面からプレッシャーを与えている「あの国」がピンチに追いやられているからだ。

 

貼り付け元  <https://diamond.jp/articles/-/267790?page=3>

 

 

 

 

台湾への半導体一極集中

何か起きれば「終わり」

おわかりだろう、台湾だ。

ご存じの方も多いかもしれないが、実は今、台湾は世界の半導体生産を一手に引き受けるという、非常に危なっかしい状態になっている。

まず昨年、アメリカからファーウェイが制裁強化を受けたことを機に、台湾を代表する世界的半導体ファウンドリー・TSMCが空前の繁忙期に入った。在庫を確保したいファーウェイから、注文が殺到したのだ。

それに加えて、今年2月のアメリカ・テキサス州大寒波で、パワー半導体シェアナンバーワンの独インフィニオン・テクノロジーズなどの半導体企業の工場が、そろって操業停止に追い込まれた。そしてダメ押しをしたのが、日本の相次ぐ半導体工場火災だったというわけだ。

実際、3月30日、梶山弘志経済産業相が記者会見で「ルネサス工場火災に関して、一部台湾の半導体メーカーに代替生産を要請した」と述べている。日本は半導体火災で生じた遅れをどうにかしてほしいと、台湾にSOSを送っているのだ。

結果、台湾の半導体産業は大活況で、TSMCは3年間で11兆円という、日本ではもはやほとんど聞かない投資計画が持ち上がり、雇用も増えて高級マンションも飛ぶように売れているという。ただ、このような「半導体一極集中」が、台湾にとって大きなリスクであることは言うまでもない。

「世界の視線はさらにTSMCなど台湾勢に集まるようになった。だがすでに台湾の生産能力は限界。TSMCの劉徳音董事長もついに3月末『世界が台湾を誤解しないことを願う』と疲れ気味に語った。それでもTSMCは南部の台南市を中心に今、広大な敷地で新工場の建設をあちこちで急ピッチで進める。その光景はどこか世界からせかされているようにも映る」(日本経済新聞4月7日)

世界の半導体工場・台湾。それは裏を返せば、今ここでもし何かのトラブルが発生したら、世界の自動車、スマホ製造ラインは大混乱に陥るということだ。そのとき、もし中国がしっかりと半導体在庫を確保していて、さらに自分たちでもそれなりに生産体制を築いていたら――。

世界の半導体勢力地図は、一気に塗り替えられてしまう

 

貼り付け元  <https://diamond.jp/articles/-/267790?page=4>

 

本当に起きているかもしれない

ゴルゴ13』のような話

「それこそゴルゴ13だよ、妄想乙」とせせら笑う声が聞こえてきそうだが、世界が大混乱に陥る中で、中国が「足りなくなったモノ」を武器に、世界のパワーバランスを塗り替えようと試みるというのは、「ワクチン外交」が証明している。

分散している「敵」と対峙する場合、拠点を一つひとつ潰していくより、一箇所におびきだして集めて一網打尽にする方が、はるかに効率的だ。それと同じで、もし中国が半導体覇権を狙うなら、台湾が生産能力を極限まで高めたところで一気に叩いた方が、よりダメージが大きくなることは言うまでもない。

事実、そんな「シナリオ」が頭をよぎってしまうような、奇妙なことが台湾で起きている。

自由時報』などの台湾メディアによれば、3月31日、台湾北部新竹科学団地にあるTSMC第12工場で火災が発生し、停電状態となった。出火元は変電所で、「原因不明」だという。

もちろん、世界の半導体生産が集中して現場が疲弊していることを踏まえれば、このようなトラブルが発生することもそれほどおかしなことではない。

が、一方このタイミングで、台湾海峡でも中国とアメリカの緊張が高まっていることは、偶然にしてはでき過ぎではないか。

3月9日にはアメリカの上院議会の公聴会で、米インド太平洋軍のデービッドソン司令官が「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」と述べ、世界に衝撃が走った。そんな時期に世界のハイテク機器の生命線である半導体が、中国の侵攻場所に過剰なまでに集められているのだ。

今から6年以内というと、習近平肝いりの産業政策「中国製造2025」では、《「製造強国」への仲間入りを果たす》という時期に当たる。台湾を手中に収めれば、当然この目標を達成できることは言うまでもない。

「中国が日本の半導体を狙うなんて、マンガもいいところだよなあ」と笑う人も多いが、「一帯一路構想」などを見れば、中国がもはや日本など眼中にないことは明らかだ。

日本人が平和ボケしているだけで、世界では「ゴルゴ13」の世界のようなことがリアルに起きているのかもしれない。

(ノンフィクションライター 窪田順生)