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新型コロナウイルス 武漢研究所流出説は「妥当」

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新型コロナウイルス 武漢研究所流出説は「妥当」

 

国立研究所が昨年報告書

 

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は7日、米国立研究所が昨年5月、新型コロナウイルスが中国・武漢ウイルス研究所(WIV)から流出したという説は妥当であり、さらなる調査を行う価値があるとする報告書をまとめていたと報じた。トランプ前政権が新型コロナの起源を調査する際に、これを参考にしたという。複数の関係者の話として伝えた。

中国・武漢ウイルス研究所=2月3日(AFP時事)

中国・武漢ウイルス研究所=2月3日(AFP時事)

 同紙によると、機密指定された報告書を作成したのは、西部カリフォルニア州にあるローレンス・リバモア国立研究所の「Z部門」と呼ばれる情報部門。同研究所は生物学に関する豊富な知識を持っており、新型コロナの全遺伝情報(ゲノム)解析に基づき評価したとしている。

 関係者は、報告書の内容が研究所から流出した可能性について追加の調査を行うよう強く主張していたと同紙に伝えた。国務省当局者は昨年10月下旬にこの報告書を受け取り、さらなる情報を求めたという。

 また同紙によると、この報告書は、米政府が新型コロナの研究所流出説と自然発生説について、真剣に調査した最初の取り組みの一つだという。

 国務省は今年1月に発表した文書で、2019年秋に武漢研究所の複数の研究者が新型コロナとインフルエンザに似た症状を発症したと信ずるに足る証拠があるとしていた。また同文書は、遅くとも17年には人民解放軍がWIVに研究資金を提供し、動物実験を含む極秘の研究を行っていたとも指摘。その上で「武漢の研究施設への完全かつ透明な立ち入り検査が必要」だとして、研究者への聞き取り調査や職員の健康記録の調査の必要性を訴えていた。

 バイデン大統領は先月下旬、米情報機関に対して、新型コロナの起源について追加の調査を行い、90日以内に報告するよう指示。この中で、国立研究所などによる情報収集の取り組みの強化を求めていた。

(ワシントン・山崎洋介)

コロナ禍の世界で増える 子供の誘拐・売買・行方不明

 

山田寛の国際レーダー

 

元嘉悦大学教授<br>山田 寛

嘉悦大学教授 山田 寛

 世界各地で近年、子供の拉致・誘拐・人身売買・行方不明が増えてきた。コロナ禍の中、一層増加しているようである。

 その摘発や被害者救出が難しいことは、先月初め中国公安部が発表した数字でも示されている。年初から国中で被害者を探し出す「再会作戦」を展開し、4月末までに約700人を見つけ、犯罪容疑者86人を逮捕した。中国メディアは、30年ぶりの親子再会の感動物語などをせっせと報じた。

 しかし、年間7万~20万人もの子供が拉致・誘拐などで行方不明になっているという子供拉致大国。泣く子も黙る中国公安が全国作戦を展開しても、成果はごくごく一部なのだ。

 世界でこれらの犯罪の被害者がどれ程いるか。大雑把な推計によるしかないが、大人と子供の合計の人身売買を見ても、米国務省の推計で2006年は400万人だったのが、近年の同省報告では2500万人に達している。

 国連薬物犯罪事務所(UNODC)は今年2月、18年に発見された売買被害者は約5万人、うち34%が子供だと公表した。子供の比率は03年と比べ3倍に増えた。発見総数も16年から倍増しているが、発見率はやはり数百分の一に過ぎない。

 売買被害少女の多くは性産業・性搾取へ、少年は強制労働へ…だが、売買の間口も広がっている。昨年の米国務省報告が注目していたのが、スポーツ選手になりたい子供をねらう売買。欧州のサッカー関連産業だけで、年1万5000人の被害者が出ているという。

 そして国連機関もNGOも強く懸念しているのが、コロナ禍の負の影響だ。この種の犯罪の追い風ともなっている。「人身売買や誘拐の犯罪者は、コロナ禍の混乱を利用している」「数百万人が売買や性的搾取の危険にさらされている」というのである。

 学校閉鎖、都市閉鎖で、子供たちはSNSにふける。犯罪(業)者には、SNSは彼らを誘惑する最大の武器となる。仮想通貨の普及も便利だ。

 家計が困窮し、学校閉鎖を機に退学する子供も多い。教員やNGOは子供との接触が困難になり、犯罪者にとって邪魔者も減っている。

 欧州のNGO連合「欧州の行方不明児たち」のホットラインには、昨年8857件の新規行方不明(前年比17%増)が報告された。欧州では、毎年20万人以上の子供が行方不明(犯罪と無関係の家出も含む)になっているというが、昨年は一層増加したようだ。

 毎年40万人前後の行方不明児が連邦捜査局FBI)のリストに加えられる米国で、昨年NGO「行方不明・被搾取児のための全国センター」に寄せられた報告件数は、行方不明児は前年比8・3%増、被搾取児は28%増。「ネットでの誘惑」は3万7872件で97・5%も増加した。

 インドでは、昨年4月~9月に1127人の子供が売買から救出されたが、今や感染大爆発で親を失う子供が激増し、SNSには彼らを狙う違法な養子募集などがあふれている。

 メキシコでは昨年11月、NGOが「8000人の子供が犯罪組織のため行方不明だ」と訴えた。今年4月、国連機関が「毎日275人もの子供たちが米国行きを目指し、中米諸国から集まっている。年初の9倍。半数は単独行だ」と明らかにした。暴力と貧困を逃れて来るが、移動・待機中にさらに誘拐、売買、性的虐待などの標的になっている。

 アフリカは戦乱、テロ、子供労働があふれ、被害状況把握は一層困難だ。国際赤十字は昨年8月、「大海の一滴」と認めながら行方不明児2万人と報告した。

 世界中で警報が鳴っている。コロナ禍の中のもう一つの重大な人災である。

(元嘉悦大学教授)