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世界最大のインフラ事業「一帯一路」がついに見限られ始めた

習近平“肝いり”の公共事業がアジアを世界の「火薬庫」にしようとしている…岐路に立たされる「一帯一路構想」のヤバすぎる実情

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現代ビジネス

史上最大の公共事業「一帯一路」が変える「地政学

 タイのバンコックで6月25日に「世界華商大会」開幕され、世界各地から3000人以上の華僑・華人の実業家らが集まった。 【写真】習近平、ついに“自滅”か…アメリカの論文が予想した中国「大崩壊」の末路  印象的だったのは、テーマ別の分科会では中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の重要性がことさら強調されたことだ。一帯一路構想は、習近平国家主席が2013年9月、カザフスタンのナザルバエフ大学の講演で「シルクロード経済ベルト」構築を提案したことに始まる。  中国からユーラシア大陸を経由して欧州につながる陸路(一帯)と中国沿岸部から東南アジア、南アジア、アラビア半島、アフリカ東岸を結ぶ海路(一路)で、インフラ整備や貿易などを促進する計画だ。中国はユーラシア大陸に大きな存在感を示す一方で、遠大な海洋に通ずる沿岸部を有していることから、古来から陸でも海でも覇権を取ろうとする傾向が強い。  国力が高まった現在の中国も伝統的な地政学上の要請から、一帯一路を推進しようとしているわけだ。

一帯一路に吹き荒れる「大逆風」

 一帯一路は、インフラ投資計画としては史上最大規模だと言われている。  中国側の統計によれば、2014年から22年までの9年間にプロジェクトに投じた資金は7481億ドル(約104兆円! )に上る。中国と協定を結んだ国は150を超えている。  習氏の提唱から10年目を迎えた一帯一路だが、このところ逆風が吹いている。  アメリカ「エンタープライズ研究所」によれば、中国は2019年まで毎年1000億ドルの資金を注ぎ込んでいたが、新型コロナパンデミックが発生した2020年以降は年600億~700億ドルにまで落ち込んでいる。  新興国の経済が不調となり、融資の焦げ付きが目立ってきたからだ。  米調査会社ロジウム・グループによれば、当初の約束どおりに返済されない「問題債権」は2020~22年に768億ドルに達し、2017~19年(170億ドル)の4.5倍に急拡大した。  スリランカパキスタンベネズエラとの間の「返済減額」や「繰り延べ」などのリスケ交渉は暗礁に乗り上げており、不良債権は膨らむ一方だ。中国が債務不履行となったスリランカに対し、建設した港湾の利用権を99年間提供させたことを受けて、西側諸国は「中国から融資を受けた途上国は債務の罠に陥った」と非難しているが、中国自身も金融面で大きな打撃を被っている。  中国の外貨準備は世界一の規模を誇るが、途上国向け融資の焦げ付きが増えれば、外貨不足に陥る可能性がある。中国開発銀行や中国輸出入銀行は「貸し剥がし」に躍起になっており、中国から海外に回せる資金の余力が小さくなっていると言わざるを得ない。  「金の切れ目が縁の切れ目」ではないが、この傾向が最も顕著なのは欧州だ。  さらに後編記事『新興国が「反中」へと舵を切る…! 「一帯一路」の巨額投資がまねいた「アジアの‟反中“感情」に日本も巻き込まれかねない「最低の展開」』では、世界最大のインフラ事業「一帯一路」がついに見限られ始めたその実態について詳しくお伝えしていこう。

藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)

 

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