「安倍首相の暗殺」を笑って再現 中学校の行事で不道徳な出し物=中国 山東
このほど、山東省の中学生たちが、学校行事のスポーツ祭で「安倍元首相の暗殺」を再現する出し物を披露し、全員で大笑いしていたことを示す動画がSNSに流出した。
なお、ここに見られるのは発達途中の中学生である。偏向教育の全責任は、生徒を指導する教師および中国の教育システムにある。
そのため、この寸劇を演じた中学生を批判すべきではないが、常識として、凶弾によって理不尽に殺された人を、このような笑いものにすることは許されない。
本来、教師が制止すべき不道徳な内容ではあるが、それをしていないところを見ると、教師もそれに同調、あるいは教唆している可能性がある。
その寸劇のなかで、安倍晋三首相を演じる生徒がおもちゃのピストルで撃たれて倒れた後、他の生徒たちが、用意していた赤い横断幕を広げた。
この「用意していた横断幕を広げた」というところから、このパフォーマンスが生徒のオリジナルではなく、学校によるヤラセであったことが伺われる。布製の横断幕を(費用を負担して)作っておけるのは、生徒ではなく、学校であるからだ。
さらに、その赤い横断幕には、こう書かれてあった。
「兩聲槍響屍骨寒,污水排海遺後患(銃声が2つ鳴り響き、冷たい死体となる。汚染水を海に排出して、後顧の憂いを残す)」
内容に問題があることは別として、実によくできた対句である。「寒」と「患」で韻がふまれ、平仄も整っている。だとすれば、この詩文は中学生が書いたものではなく、おそらく語文(国語)科の教師が作ったものと見て間違いない。
つまり、全て教師があつらえて用意したパフォーマンスを、生徒たちにやらせたのである。横断幕に「安倍元首相の暗殺」だけでなく、福島第一原発からの処理水放出を「汚染水」に替えて盛り込むところにも、大人たちの卑劣な作為が見受けられる。
ともかく、生徒たちの熱演は成功したようだ。会場は、全校生徒のゲラゲラ笑う歓声と拍手に包まれた。
しかし、かりそめにもここは教育の場ではないか。人を殺す場面を学校行事のなかに再現し、それを揶揄して皆で笑うことが教育の一環であるとすれば、すでに狂っていると言わざるを得ない。
繰り返すが、中国の中学生である君たちに罪はない。君たちも、洗脳された被害者なのだ。
ただし、本記事の声が君たちに届くなら、どうか考えてもらいたい。君たちが安倍晋三さんという人に反対ならば、それも一つの意見だろう。しかし、安倍さんは民主主義の基本である言論をもって、選挙の応援演説をおこなっていた時に、後ろから撃たれて亡くなったのである。そのような「犯罪」を笑ってはいけない。
いま君たちがいる中国に、民主主義はあるだろうか。言論の自由は、あるだろうか。国民が投票できる選挙は、行われているだろうか。
君たちが本当に中国を愛しているのなら、せめて上に挙げたことを、もう一度考えてもらいたいのだ。誰よりも安倍さんが、そのことを君たちに願っているだろうから。
(中学校のスポーツ祭で「安倍首相の暗殺場面」を生徒に演じさせ、全員で笑っている)