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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024)2月28日(水曜日)
通巻第8153号 <前日発行>
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ウクライナの情報機関改革はまずロシアのもぐら追放だった
CIAが特訓した2245部隊は有能な諜報機関にそだった
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ニューヨーク・タイムズ(23年2月25日付)が報道したのだ。「米国諜報機関がウクライナの政策決定に大きな役割を演じてきたが、ハイテクで指揮統制できるスパイセンターを設立し、資金提供もしている」と。同紙がこのような機密に属する情報を報じたという意味はホワイトハウスが情報を統制できていないことでもある。
https://www.nytimes.com/2024/02/25/world/europe/the-spy-war-how-the-cia-secretly-helps-ukraine-fight-putin.html
ウクライナのスパイセンター構築プログラムは、オバマ、トランプ、バイデンの三代の政権に引き継がれ、ウクライナ諜報機関を近代化するというCIAプログラムにより、過去10年でクレムリンに対するワシントンの最も重要な諜報パートナーとなっていた。
CIAは2014年のマイダン革命直後から秘密裏にウクライナ諜報員を訓練し、装備を整えてきたこと、ロシア国境沿いに12の秘密基地ネットワークを構築したことが含まれる。諜報基地は、ロシアの司令系統の通信を傍受し、或いは妨害し、ロシアの偵察衛星を監視することができる。加えてドローンやミサイル攻撃の発射指令やその距離、また発射後の追跡に使用されてきた。
実際にウクライナ国内諜報機関SBUの元長官イワン・バカノフは、「CIAとCIAが訓練したエリート特殊部隊がなければ、ウクライナがロシアに抵抗することはなかっただろう」と述べている。
秘密スパイ基地はロシアの偵察衛星を追跡し、ロシア軍司令官間の会話を盗聴している。この地下壕基地は、ロシアの侵攻によって破壊された司令部の代わりに建設され、ウクライナ軍の秘密中枢であり、米国が全額の資金を提供、装備は CIA によって賄われていた。
エリート特殊部隊(2245部隊)もCIAが特訓した。CIAはモスクワの暗号化システムを解読できるように、ロシアのドローンや通信機器を捕獲した。CIAは「金魚作戦」プログラムの一環として、ヨーロッパの都市でエリート特殊部隊の訓練をなし、ウクライナ人がロシアの軍事ネットワークにハッキングできるようになったという。
こうした信頼関係は2015年にウクライナ陸軍の諜報機関長だったヴァレリー・コンドラチョフ将軍が、キエフの米国大使館にウクライナ側の機密書類を持ちこんだことが切っ掛けになったとウクライナ有力紙『キエフポスト』(2月26日)が書いた。
しかし、何故このタイミングで、バイデン政権の宣伝紙であるニューヨーク・タイムズがこの機密を暴露したのか? 政治的な意図があるはずだ。
ウクライナ治安局(SBU)元長官は「SBUとCIAの協力関係は10年前から続いていた」と認めた上で『キエフポスト』の独占インタビューに応じ、次の事実を語っている。
SBU長官退任後、国会議員となっているのはナリヴァイチェンコである。かれはあけすけにCIAとの関係を認めた。
「第一段階はCIAと信頼関係を高めることにあり、とくにSBUに巣くっていた裏切り者、もぐら、その他の親ロシア派を組織内で根絶する必要がありました。SBU トップの 90% 以上を解雇しました。ともかくSBUのロシア工作員を一掃しなければ、CIA、MI6、BNDなどとの信頼を築くことは不可能でした。
2014年3月、ジョン・ケリー国務長官、ビクトリア・ヌーランド次官補らがキエフを訪問したときに、『アメリカのパートナーと何を計画しているのか、達成したい目標は何か、そしてウクライナの国内安全保障にとってCIAやFBIと協力することがいかに重要か』等を話しあったのです」
▼「れっ?」。ナワリヌイの死因は暗殺ではなかった??
さてナワリヌイ『暗殺』である。
暗殺説をまっさきに流したのは米国だった。リンゼイ・グラハム上院議員(全米議員のなかでウクライナ支援組の最右翼)などは「暗殺は明らか、ロシアをテロリスト国家とバイデン政権は指定すべきだ」としていたし、バイデンも『新しい制裁』を発表したばかり。
ところが死因は血栓とされ、ウクライナの情報責任者が『確認出来た』と公言したのだ。これは米鳥間の情報摺り合わせが出来ていないこと、齟齬を露呈したことになる。
暗殺だとしてバイデン政権の見解を否定したのがウクライナ情報機関だから、米国はウクライナの情報機関に顔に泥を塗られたことになる。
ウクライナのHUR長官のキリロ・ブダニフは『皆さんを失望させるかも知れないが、ナワリヌイ氏の死亡原因は血栓だった。確認が取れた』とした。
また米独と露西亜との間で人質交換交渉が進んでいて、近くナワリヌイは、ドイツで拘留中のロシアFSBバデイム・クラショフと相互釈放(つまり人質の交換?)で話はまとまっていたとも語った。バディム・クラフォフはドイツ国内でチェチェンの反乱の指導者暗殺に関与していたとされ、ドイツに拘留されている。
◎◎み○☆や◎☆ざ○☆き◎☆◎ま○☆さ◎☆ひ◎◎ろ○☆