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自らの出世栄達のため、自民党の権力者や保守言論人に接近し、知事になると本性をあらわにして「中国への羨望・恭順」の意をあらわにし、中国共産党に右顧左眄した川勝知事 ついに引導を渡された

【寄稿】引導渡される川勝知事 中国共産党への忖度は「有徳」なのか

【寄稿】引導渡される川勝知事 中国共産党への忖度は「有徳」なのか
3日の臨時記者会見に臨む川勝平太静岡県知事(静岡県庁公式Youtubeチャンネルよりスクリーンショット
 
2024/04/03 大紀元
 
更新: 2024/04/03
 

 

川勝平太静岡県知事が辞任の意を表明した。東京・品川と名古屋を結ぶリニア中央新幹線について、川勝氏が環境への影響を懸念するあまり、静岡工区の着工が遅れに遅れ、JR東海は令和9年中の開業断念を3月29日に発表したばかりだった。

辞任のきっかけになったのは、4月1日に行われた静岡県の新規採用職員向けの訓示の席でなされた発言だった。川勝氏は訓示の中で「毎日毎日野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかとは違い、基本的に皆さんは頭脳、知性の高い方。それを磨く必要がある」と述べた。これが問題視された。

川勝氏といえば、「コシヒカリ発言」に代表される相次ぐ失言だ。だが、それよりも看過できないのは、中国に対する異常なまでの媚びへつらいぶりだ。

川勝氏は2012年9月、人民日報のインタビューに答え、「学生時代に『毛沢東全集』を読破した」と言ったことも波紋を広げた。川勝氏が執拗に「大井川の水量が…」とリニア中央新幹線静岡県内の着工を認めないのは、中国で、北京―上海、広州―深圳、上海―杭州成都重慶といったリニア路線の計画があり、そちらを先んじて開業させるための策略ではないか、と一部でまことしやかにささやかれたものだ。

実際は川勝氏が着工を遅らせ、開業が延びたところで、中国のリニア計画が実現する可能性は、現時点では極めて低いといわれているので、仮に川勝氏が中国に「忖度」したとしても、効果はないかもしれない。

川勝知事は2010年1月、習近平国家副主席(当時)から人民大会堂に招かれたことを「感激した」と話している。川勝静岡県政は、2010年の上海万博に、富士山の高さにちなんだ3776人の訪中団を送ると約束し、最終的に6000人もの訪中団を派遣したと述べている。

川勝知事は中国の「一帯一路」構想も手放しで褒めている。「世界史の遺産の陸と海のシルクロードを新しく『一帯一路』とした構想力に敬服している」とまで述べている。専制主義国家で悪名高い中国の「一帯一路」構想など、形を変えた21世紀型の帝国主義ではないか、と僕などは思ったが、事実、一帯一路構想に乗っかり、巨額の融資を返済できなくなったスリランカはハンバントタ港を中国側に99年間、租借されてしまった。川勝知事の目には、中国の一帯一路構想は、夢のある慈善活動にでも映ったのだろうか。

そんな親中、媚中姿勢を隠さない川勝氏だが、意外なことに彼をここまでの地位に引き上げたのは、左派が「極右」と蛇蝎のごとく嫌っていた安倍晋三元首相であり、自民党の歴代首相なのだ。

最も川勝氏の出世栄達に重要な役割を果たしたのは、小渕恵三元首相だろう。1998年、自著の「文明と海洋史観」が読売論壇賞を受賞し、その席上で当時、外相だった小渕氏に声をかけられた。

小渕氏は首相に就任した際の施政方針演説で川勝氏の著書「富国有徳」を唱え、小渕氏が主宰した「21世紀日本の構想」の主要メンバーとなった。その後は安倍内閣の「美しい国づくり」企画会議委員も務めている。彼が静岡文化芸術大学長に就任し、静岡県知事となる礎を築けたのも小渕内閣で文相を務め、浜松に居住経験があった有馬朗人(ありま・あきと)氏が、当時の石川嘉延静岡県知事にかけあって決まったものだと言われている。

川勝氏は2009年、「これが日本の最強内閣だ」と題したアンケートに答え「首相は櫻井よしこ氏、官房長官中山恭子氏を挙げるなど、このころは露骨に保守派に阿っていた。知事に出馬するや、自民党を袖にして民主党国民新党社会民主党の推薦を受け、2009年に初当選した。その後、リニア中央新幹線をめぐり、日本がこの知事に振り回されたことは周知の事実だ。

川勝氏は6月県議会を以て辞めるというが、これとて6月支給のボーナスだけはもらおうという肚なのではないか、と見る向きもある。自民党県議団は「そうはさせじ」と不信任決議案を提出し、早々に辞職に追い込むことも検討しているという。不信任案がもし出された場合、知事与党の「ふじのくに県民会議」の中で、「もう知事にはついていけない」と、会派を離脱した大石哲司県議をはじめ、不信任案賛成に回る議員が出るのではないか、と言われている。

ついに自らの与党会派からも引導を渡されようとしている川勝氏。自らの出世栄達のため、自民党の権力者や保守言論人に接近し、知事になると本性をあらわにして「中国への羨望・恭順」の意をあらわにし、中国共産党に右顧左眄する。これのどこが「有徳」なのだろうか。

1967(昭和42)年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、1991(平成3)年、産経新聞社に入社。主に東京本社社会部で警視庁などの警察、国税庁担当を長く務め、国税担当は東京と大阪で9年にわたる。東北総局次長などを歴任後、2019(令和元)年に退社。フリーに。主著にノンフィクション「19歳の無念」(角川書店)。