パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

【石平のChina Watch】官本位と「権貴市場経済」

権貴市場経済という言葉があるようである。

中国共産党一党独裁の上に 官僚機構があり そして誤った教育で本来の共産主義から
似非資本主義に移行した中国の経済社会、人の心まで 「金」と呼ばれる価値観しか
現在残っていないとすれば、我々が考える思いやり、協調とかが中国人には理解できないのが
よく理解できる。
我々が 本来持ちうる 愛国心を国旗、国歌で表そうとすると、それは右翼だとなる考えも
戦後 日教組が歩んできた 社会主義教育のたわ物であろう。

本来国家観とは 左の考え、愛国心、右の考えの三つが存在し、リベラル=愛国心というのが
本来の考えであって、愛国心=右 と言うのがおかしいのであってこれも 戦後教育からの
影響でまちがいない。 それが現在試されているわけである。


【石平のChina Watch】官本位と「権貴市場経済

2010.10.21 07:59

 8日付の『法制晩報』という中国国内紙が、小学生にまつわる一本の面白い記事を掲載した。北京市内の10の小学校で、9月に入学したばかり(中国の学期は9月に始まる)の小学校1年生を対象にアンケートを行ったところ、9割の生徒たちが学級委員などの「学級幹部」になりたがっていることが分かった。

 7歳前後の無邪気な子供たちの9割が「幹部志向」であるとは驚きの結果であるが、記事の分析によれば、それは主に父母からの影響によるものだという。つまり大人の世界では、「幹部」となることが一番の得とする考えが浸透しているから、それが幼い子供たちにまで染み付いたわけである。

 中国では昔から、「金本位」ならぬ「官本位」という言葉がある。権力がすべての基準であり、権力さえあれば何でもできるという「権力中心社会」の特質が表されている。今から二千数百年前に秦の始皇帝が中央集権制の大帝国を作り上げて以来、「官本位」の悪(あ)しき伝統はずっと生き続けてきている。市場経済やインターネットが発達している今日に至っても、中国社会の基本構造は何も変わっていない。

 というよりもむしろ、今のような市場経済の中で「官本位」はカネと結合してよりいっそう増長している。独裁権力の持つ許認可権や土地の譲渡権などは幹部たちに独占的な利権を与えているからだ。今年の8月に収賄の罪で摘発された遼寧省撫順市国土資源局の羅亜平・元局長の場合、その収賄額は1億4500万元(約15億円)にも上ったという。幹部の持つ利権の大きさがよく分かる。

 同じ小学生にまつわる話だが、去年の9月に、広州市の小学校1年生の女の子が、「自分は大きくなったら汚職幹部になりたい。汚職幹部なら何でも手に入れることができるから」と語ったことが大きな話題を呼んだ。同じ2009年に国務院研究室や社会科学院などの公的研究機関が行った研究調査では、09年3月現在、中国国内で1億元以上の資産を持つ3220人の「億長者」のうち、その9割以上を占める2932人が高級幹部の子女であることが判明している。この「社会主義大国」の中国では、「労働は富の源」にあらずにして、権力こそが金を生む卵なのである。

 その一方で、権力を持つ人々が市場経済の中で暴利をむさぼった結果、市場経済の基本である自由競争の原理が著しく損なわれ、市場は権力によって侵食されてしまう。国内の専門家たちは今、このような状況をさして「権貴市場経済」と呼んでいるが、それは要するに、一部の「貴人=幹部」の権力乱用によってゆがめられた奇形市場経済である。貧富の格差の拡大という深刻な社会問題もそこから生じてきている。

 中欧国際商学院教授で著名な経済学者の許小年氏は最近、「中国は今、権貴市場経済の方向へ向かって邁進(まいしん)しており、極めて危険だ」との警告を発している。今の状況から見れば、権貴市場経済の暴走は今後も続くだろうし、それがやがて中国の経済成長の大きな妨げとなることも予想される。

 天安門事件の後、共産党政権は「社会主義市場経済」を打ち出して経済の成長とともに政権の安定を図ってきた。が、経済を自由化させながら一党独裁の政治体制を死守するというこのご都合主義の方策は、結局権貴市場経済という怪物を生み出し自らの限界にぶつかった。二十数年間、中国に「安定と繁栄」をもたらしてきた「社会主義市場経済」が破綻(はたん)した後、中国は一体どこへ向かうのだろう。

                   ◇
【プロフィル】石平
 せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
Copyright 2010 The Sankei Shimbun & Sankei Digital