経済アナリスト・森永卓郎が緊急提言!
「2013年に震災大恐慌がやってくる!
大増税時代を生き抜く“ハイパー節約術”を実行せよ」
日本が東日本大震災からの復興へ向けて前向きに歩き始めたのも束の間、大増税が国民を襲おうとしている。個人負担となる所得税の増税は早ければ2012年度から行われ、消費税についても23日に出された政府案によると、2013年10月に7~8%、15年度中に10%と段階的引き上げられる見通しだ。復興財源捻出のためとはいえ、この時期に増税が行われれば、私たちの家計はどれほど大きな打撃を受けることになるのか。「2013年には大増税に伴う大恐慌に突入する恐れがある」と指摘する経済アナリスト・森永卓郎氏に、大増税時代に備えた『森永流・ハイパー節約生活術』を教えてもらった。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)
“復興需要息切れ”の最中を襲う大増税
激烈なデフレで年収は半分に激減!?
Photo by Kazutoshi Sumitomo
それは過去の例を見ても明らかです。1995年の阪神大震災発生から2年度の97年から日本は深刻なデフレーションに陥り、それが未だに続いています。また時代を遡れば、1923年に関東大震災が発生し、その4年後の27年には昭和金融恐慌、そして3年後には昭和恐慌に突入した歴史があります。
そうした点を考慮すると、2年後である2013年度から景気は悪化してくるでしょう。にもかかわらず、野田政権は所得税の増税を始め、消費税も2010年代半ばまでに段階的に上げるとしているのです。最悪のケースとして、消費税は2013年度から上がり始める予定ですから、復興需要のカンフル剤が切れるところに追い打ちをかけることになります。それは予測するまでもなく、誰が考えても景気が失速するに決まっています。
こうした政府の動きをみて、私はわざとデフレに導こうとしているのではないかとさえ考えています。激烈なデフレ下では、圧倒的に富裕層に有利に働きます。株や不動産を買い占めるには、天国のような状態です。日本の財閥が一気に太ったのは昭和恐慌のときで、そのことからも明らかです。
服はフリマ、買い物は週1回、家は“都会田舎”に!
今すぐ始めたい「森永流・ハイパー節約術」
今すぐ普通では考えられないペースでの節約、つまり“ハイパー節約”をはじめて、キャッシュポジションを高める努力をしてください。デフレが進行する前に、今からキャッシュを積み上げておけば、もっと大きなチャンスが訪れるはずです。そうすれば、普通のサラリーマンでも、田園調布に家を建てられる時代が来るのではないでしょうか。
「衣」については、とにかくお金をかける必要は全くありません。今までのストックもあるでしょうし、安く済ませようと思うならフリーマーケットを活用するとよいでしょう。出展者が店じまいをはじめる夕方に行けば、10円や100円でも買えますし、1000円も使えば抱えきれないほどの商品を持って帰ることができるはずです。
そして、スーパーに到着してからは、カートは使用してはいけません。カートだとどんどん商品を放りこんでしまう危険性がありまます。また、すぐに買い物かごに商品を入れてもいけません。一周まわって、元の位置に戻った時点で、そのとき1番旬で安いものを1週間の総カロリーをざっと計算して、それから買いに動くのです。
したがって、買い物に出かけるときは絶対に献立を決めて行かないことが重要です。何をつくるかは家に帰ってから食材を並べて考えてください。慣れてくれば、じっと食材を見ているだけでだんだん“因数分解”され、1週間分のメニューになるはずです。メニューにならず、余ったものはマヨネーズやケチャップをかければ大抵食べられますから問題ありませんよ。
まず挙げられるメリットは、物価が圧倒的に安いことです。ロードサイドの安い店がたくさんあり、東京と比べて3~4割は安いでしょう。また、空気や水がきれいで、自然と触れ合えて、朝は鳥のさえずりで起きることもできます。そして、ショッピングセンターや観光地が近くて生活や娯楽に困ることはありません。
都心マンションでの賃貸暮らしは、おしゃれで便利で素敵だと言われてきましたが、今回の震災でリスクが大きいことが改めてわかりました。都心の小さなスーパーやコンビニは、瞬時に食べ物がなくなりましたが、それは都心マンション暮らしの人たちが部屋をすっきり使うために断捨離をし、スーパーやコンビニを冷蔵庫代わりにしていたからです。それはものすごく危険な暮らしであり、脆弱な基盤の上に成り立っていることは明らかでしょう。
私は震災後、埼玉にある自宅にいましたが、食糧に関しては全く困りませんでした。うちには備蓄部屋があり、飲み物や食べ物を安いときに大量買いし、積み上げているのでなくならなかったのです。車も燃費の良いものを2台置いており、いつもガソリンを満タンにしてあるので、ガソリンパニックのときも1度も入れずに済みました。そういう意味でも、都会田舎で家を所有していることは、今の世の中で生活するならば有利だと思います。
また、今だけではなく、老後においてもローンの払い終わった都会田舎の一軒家に住んでいるのが、最も理想的な暮らしだと考えています。もし会社を辞めて老後を迎えたときに都心の賃貸で住んでいれば、手すりをつけるなどといった改造はできませんし、年金はこれから実質的に下がっていきますから、家賃を払い続けると家計はパンクしてしまいます。
ですから家を買うことをおすすめしますが、これから家を買おうとしている30代~40代の人たちは無理しないことが大切です。都心で買うならば、多くの方が多額の借金をしなければならないからです。その一方で、50キロ圏の都会田舎に住めば、確かに通勤は1時間以上かかりますが、中古でよければ無理をせずに現金でも買えてしまいます。所沢駅からバス便でよければ、90平米くらいで1000万円を切っていますし、徒歩圏内の中古のマンションで1000万円台、新築なら2700万円ほどで購入できるのです。
投資はデフレが止まるまで様子見を
5年後にやってくるチャンスを見極めろ
投資については、少なくともデフレが止まるまでは様子を見たほうがよいでしょう。物価が転げ落ちていく今、最も重視すべきなのは現金と銀行預金です。投資は株価がどんどん落ちて、底を打ったところで買えばよいのです。そこまではいつでも買えるポジションを持っておくことが重要です。そうした点からも、もちろん少しずつ買うのはよいと思いますが、現時点で全財産を突っ込むのはやめたほうがいいでしょう。
個人的には、5年後が「底」だと思っています。富裕層の人たちが、2013年度から日本を深刻なデフレに陥れ、3年ほどボロボロに食い荒らして、最後にインフレへとスイッチを切り替えるとみているからです。戻り始めたら早いですから、底はいつ来るか相当しっかりと見極めるようにしてください。