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中国ビジネスは、「去るも地獄、残るも地獄」の様相を呈してきた。


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ヤマダ電機を苛む異例の降格人事と 中国ビジネスの罠

週刊文春 10月18日(金)13時1分配信

 家電量販業界トップのヤマダ電機が全取締役の降格人事を発表したのは、今年の4月末。2年連続の大幅な減収減益の責任を明らかにするため、社長以下の役職を一段階ずつ下げるという異例の人事に踏み切ったと言われる。

創業者で会長兼CEOの山田昇氏(70)も社長に「降格」されたが、異例の降格人事が役員に限られたものではなかったことが波紋を呼んでいる。

「じつは同時に、店長以下の全社員の等級(給与に連動する社内資格)も一段階ずつ下げていたんです」

とは業界関係者。

「例えば、テックランド(ヤマダの郊外店の名称)でトップクラスの売上げを誇る店の店長でも、月3万から4万は給料が下がっていますし、月7万から8万も下がった店長もいます。みんな『これでは、生活できない』とこぼしていました。しかも問答無用で一律に下げたから、店長のモチベーションは上がりません」

ある大手家電量販店の関係者も、こんな指摘をする。

「ヤマダさんの店から他店へ移るパートさんが増えていると聞いています。パートさんの給料も下げられたようで、それなら仕事のきついヤマダで我慢する必要もないと」

これは、人事政策の名を借りた単なるコストカットに過ぎない。むしろ急務なのは、深刻な業績不振に喘ぐ中国からの速やかな撤退である。

ヤマダ電機が売上高拡大を狙って中国市場に進出したのは、2010年。当初は13年までに5店舗出店の予定だったが、業績不振で3店舗に止まる。今年、南京と天津からの撤退を決めた。残るは瀋陽店だけである。

「中国は進出よりも撤退のほうが難しい」

というのは、中国ビジネスに詳しい銀行関係者。

「従業員を解雇する場合、中国独特の経済補償金(退職金)が必要です。しかも組合が了承しなければ当局は撤退(廃業)を認めません。また地方政府も税収が減るのを嫌がって撤退をなかなか認めません。中国では赤字でも課税できるからです。さらに出店にあたって税制面などで優遇措置を受けていたら、その精算も求められます」

ヤマダの中国ビジネスは、「去るも地獄、残るも地獄」の様相を呈してきた。


週刊文春2013年10月24日号『THIS WEEK 経済』より>

立石 泰則(ノンフィクション作家)