パルデンの会

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北京から新幹線で30分。天津の工業区は外国企業誘致で大繁栄  その100キロとなりの唐山工業区は10兆円を投じて、いま曠野に残骸


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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26年(2014)7月24日(木曜日)
     通巻第4301号
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北京から新幹線で30分。天津の工業区は外国企業誘致で大繁栄  その100キロとなりの唐山工業区は10兆円を投じて、いま曠野に残骸

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 北京南駅から15分ごとに天津への新幹線が発車する。天津は国際都市、特別行政区でもあり、旧市内には日本租界もあった。清朝末期、皇帝溥儀は、ここに隠れた。
いま市内目抜き通りには伊勢丹もある。海側の糖枯工業区へも新幹線が繋がって大々的に発展した。トヨタの工場もある。

 その成功を横目に河北省唐山市渤海湾に突きだした島をさらに海側に埋め立て、240平方キロの「大団地」造成を決定したのは2003年。中国で最初の「エコ都市」の建設と喧伝され、総合的なプロジェクトが開始された。これを「曽妃旬」大工業区と名付けた。

 2006年に現場を視察した胡錦涛は「世界にも誇れる美観のエコ都市が生まれる」と政権の経済政策の目玉とした。
投じられた投資資金の合計は日本円に換算すると10兆円になる。
 すでに営業キロ10000キロに達した中国の新幹線プロジェクトと同額である。

 港湾整備は水深25メートルから35メートルの深海で、30万トンタンカー。LNG基地、コンテナヤード、石炭、鉄鉱石の集積所。そして首都鋼鉄の高炉が建設された。人口島とを結ぶ橋梁は六車線。住宅団地、ショッピングモール、オフィスパーク、官庁街。。。。。。。。。。 あれから十年が経過した

 いま、夢ははかなく消えて、曠野に残骸の殺風景な風景がそこにある。
 オフィスパークには鉄筋フレームだけ、橋梁建築は途中で放棄され、官庁街の予定地へがら空きのビルは水浸しとなり、満潮時には浅瀬でかにが捕れる。まさにゴーストタウンではなく、ゴーストシティだ。

しかも、このプロジェクトは第十一次五ヶ年計画の目玉でもあったため、唐山市は合計10兆円をまるまる国有銀行から借りることが出来た。いま、一日の利払いが15億円強である。
――嗚呼、残骸や強者どもの夢のあと。