【ニューヨーク時事】国連安全保障理事会は22日午後(日本時間23日午前)、北朝鮮の人権問題を正式な議題として取り上げ、初の公式会合を開いた。国連総会は18日、この問題の国際刑事裁判所(ICC)への付託を検討するよう安保理に促す決議を採択。会合開催はこれを受けた形で、ICC付託への道を開くものと言える。
米英やオーストラリアなど理事国10カ国は先に、北朝鮮人権問題を議題とし、公式会合を開くよう議長に要請。22日の会合の冒頭で議題とするかどうかの異例の採決を行い、規定の9カ国を上回る11カ国の賛成で正式に議題となった。中国とロシアは反対し、チャドとナイジェリアが棄権した。
北朝鮮国連代表部の金星参事官はロイター通信に対し、議題化を「全面的に拒否する」とした上で、対応策については本国政府が決めると述べた。
会合でシモノビッチ国連事務次長補(人権担当)は、人権理事会設置の調査委員会が2月にまとめた報告書を基に説明を行い、国際的な拉致など北朝鮮による広範な人権侵害が「地域の平和と安全に重大な影響を与えている」と指摘した。
調査委報告は、日本人拉致や政治犯収容所など北朝鮮の人権侵害の多くが「人道に対する罪」に当たり、それらは「国家の最高レベルで決定された政策」によって行われていると断定。安保理に対し、事態をICCに付託し、首謀者に制裁を科すべきだと勧告していた。
パワー米国連大使は「調査委の勧告を検討するのは安保理に課された責務だ」とICC付託に前向きな姿勢を示した。英国も同様の見解を表明。一方、中国の劉結一大使は「中国は朝鮮半島に隣接している。半島でいかなる混乱も生じさせるわけにはいかない」と述べ、安保理の対応が北朝鮮を追い詰め、不測の事態を招きかねないと懸念を示した。
国連安保理、北朝鮮の人権問題を初公式議論
国連の安全保障理事会は22日、北朝鮮の人権侵害について公式会合の場で初めて議題として取り上げました。
22日の国連安保理は冒頭、中国が「安保理を政治的に利用すべきではない。緊張を高めるだけだ」と発言するなど、北朝鮮の人権侵害を議題化することについて中国とロシアが反対しましたが、理事国15か国のうち11か国が賛成して議題とすることが決まりました。
会合では国連の人権問題の担当官から北朝鮮の人権侵害について報告され、韓国の国連大使は「北朝鮮に家族や親戚がいる韓国人は何百万人にものぼる」として、北朝鮮の人権侵害の早期解決を訴えました。
「今日のこの日を、北朝鮮の国民のために正しいことをしたと、振り返ることができる日がいつか来ることを望んでいる」(韓国 オ・ジュン国連大使)
また、アメリカが「北朝鮮政府に責任がある」としたソニー・ピクチャーズに対するサイバー攻撃についても各国から発言が相次ぎました。
「北朝鮮がむちゃなことをする最近の例が、ハリウッドのコメディー映画でのお笑いの暗殺シーンに反応して行った、大規模なサイバー攻撃だ」(アメリカ パワー国連大使)
一方、ロイター通信によりますと、北朝鮮の国連代表部は人権問題が議題化されたことについて「断固拒否する」とコメントしたということです。
北朝鮮の人権侵害をめぐっては18日、国連総会で安保理に対して国際刑事裁判所に提起するよう促す決議が採択されています。今回、拘束力を持つ決定を下すことのできる安保理で議題とされたことで、北朝鮮に対する圧力はさらに高まることになります。(23日11:35)