中国で「スパイ行為」の疑いで日本人4人が相次いで拘束された事件で、上海と北京で6月に拘束された日本語学校幹部の女性と元会社員の男性が、中国当局に逮捕されたことがわかった。すでに逮捕されている男性2人と合わせ、拘束されたすべての日本人が今後起訴され、法廷でスパイ行為について追及される可能性が出てきた。
改善基調にある日中関係を背景に、男女2人は釈放されるのではないかとの観測もあったが、中国当局は2人の行為を重大視した模様だ。国家の安全を脅かす「スパイ行為」に厳しく対応する当局の姿勢が改めて示された形だ。
日中関係筋によると、上海で拘束された女性は、中国の刑事手続きの一つで容疑が固まれば逮捕に至る「刑事拘留」となっていたが、先月逮捕された。北京で拘束された男性は、ホテルなどで軟禁状態におかれて調べを受ける「居住監視」の状態にあったが、今月逮捕された。
2015.10.28 21:08更新 産経新聞
日本人女性をスパイ容疑で「刑事拘束した」中国大使館
在日中国大使館(東京)の何振良公使参事官(広報担当)は28日の定例記者会見で、6月に中国・上海で身柄を拘束された日本人女性に関し、中国当局がスパイ容疑で「刑事拘束した」と述べた。中国では強い嫌疑の掛かった容疑者を刑事拘束するケースが多いとされ、拘束が長期化する可能性が出てきた。
何氏は、中国当局が計4人の日本人をスパイ容疑で調査していると認めた。このうち男性1人についても6月下旬、取り調べのため公安当局が指定した場所に留め置く「居住監視」措置が取られたと明らかにした。残る男性2人は既に逮捕されている。
日本政府関係者によると、女性は50代で、スパイ活動を取り締まる国家安全省に身柄を拘束された。
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