シー・シェパードの豪団体「妨害続ける」
TBS系(JNN) 8月23日(火)17時54分配信
日本の調査捕鯨を行う日本鯨類研究所は、アメリカの反捕鯨団体「シー・シェパード」と妨害行為を永久に行わないという内容で合意したと発表しました。ただ、シー・シェパードのオーストラリアの団体は依然、「妨害を続ける」と話しています。シー・シェパードによる調査捕鯨船への妨害行為は2005年に始まり、船を衝突させるなど攻撃がエスカレートしたため、調査船側が2011年、アメリカ・ワシントン州の連邦地裁に訴えを起こしていました。
この問題で23日、日本鯨類研究所は、裁判の調停手続きの中で、日本側がアメリカの団体に和解金を支払うことを条件に、調査船への攻撃などを永久に行わないとする内容で合意したと発表しました。
「アメリカの裁判所の合意はオーストラリアには適用されない。アメリカだけだ」(シー・シェパード オーストラリア広報担当 アダム・バーリング氏)
ただ、実際に妨害活動を行ってきたオーストラリアのシー・シェパードは、JNNの取材に対し、「アメリカの裁判所の合意は我々に適用されない」として、妨害を続ける考えを示しています。(23日21:04)
最終更新:8月24日(水)12時7分
シー・シェパード調査捕鯨妨害、永遠に禁止 鯨研と合意
毎日新聞 2016年8月23日 12時44分
(最終更新 8月23日 21時49分)
日本鯨類研究所(東京)などは23日、反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)との間で、調査捕鯨船に対する妨害行為を永久にしないことで合意に達したと発表した。調査捕鯨の安全確保に向けて前進したものの、合意は米国の連邦地裁の調停によるもので、オーストラリアなど米国以外を拠点とするSSのグループには適用されない。今後も妨害が続く可能性が残されているほか、日本の調査捕鯨に対しては国際的な批判も根強い。
SSとの合意に達したのは南極海などで調査捕鯨を実施する日鯨研と、船舶を保有する共同船舶。SSによる調査船への攻撃や、安全な航海を脅かすような航行のほか、公海上で調査船に450メートル以内に近づくことが禁止された。
SSは調査船に対するレーザー光線の照射や小型船による体当たりなどの妨害行為を繰り返し、2010年ごろから鯨の捕獲量が激減したため、日鯨研は11年に米国の裁判所に提訴。13年に裁判所は妨害行為の差し止め命令を出したものの、その後も妨害が続いたため、裁判所はSSに約3億円の賠償金支払いを命じた。今回の合意で日鯨研などは、妨害行為に使わないことを条件に、賠償金の一部を和解金としてSSに返還した。
日鯨研は合意について、「調査船団の安全確保が一定程度、達成できる」と評価する。ただ、合意内容は米国以外のSSのグループには適用されず、オーストラリアなどのグループはなお妨害行為を継続する姿勢とみられる。水産庁は「今後も連携を取りながら、安全体制の強化に取り組みたい」(担当者)としている。
また、SSの強硬手段に対しては各国の批判が強いものの、日本の調査捕鯨に対する国際世論は厳しい。14年には国際司法裁判所(ICJ)が、日本に南極海での調査捕鯨の中止を求める判決を出した。日本は捕獲数を大幅に縮小するなどして昨年12月に南極海の捕鯨再開にこぎ着けたものの、反捕鯨国は強く反発しており、日本が目指す商業捕鯨の再開は見通せない状態が続いている。【宮川裕章、松倉佑輔】
南極海の調査捕鯨を巡る対立の経緯
2005年
2010年
2011年
2014年
2015年
米国での訴訟でシー・シェパード側は255万ドル(約3億円)を支払うことで合意
捕獲枠を大幅に減らした新南極海鯨類科学調査を開始
2016年
米訴訟でシー・シェパード側が今後の妨害活動を行わないことで合意