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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)10月18日(木曜日)
通巻第5862号
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悪夢の泥沼から台湾企業はなぜ這い上がれないのか?
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米中貿易戦争により、もっとも激甚な株安、そして経済の先行きについて制御できないほどの不安に襲われているのは中国ではなく、じつは台湾である。経済規模がことなるからだ。
台湾の株式市場には1200社が上場されている。その殆どが大陸へ進出している。
中国にどっぷり浸かるという悪夢の泥沼から台湾企業はなぜ這い上がれないのか。それは貿易メカニズム上、中国を基軸とするサプライ・チェーンに台湾経済がずるっとビルト・インされてしまったからだ。
反共の政治立場とか、イデオロギーとかは横に置いて、島嶼国家としての台湾は地政学的経済学からも、対岸の中国福建省、ならびに香港経由の広東への進出は生き延びるためには避けて通れない宿命だった。
過去三十年、累計四万八千社もの台湾企業が中国大陸のあちこちへ上陸して拠点を開設し、投資した金額はおよそ1200億ドルに達すると見積もられている。
これらには個人企業的なラーメン屋から、中国大陸につくった愛人に経営させているスナック店など小規模な投資も含む。
いまさら蔡英文政権が呼びかけるように中国国内の工場を台湾に戻すのは種々の条件を考慮しても、短時日裡の実現が難しい。
第一に土地がない、第二に水資源の問題、そして第三はマンパワーの不足である。日本と同様に台湾は出生率が低く、労働力を死活的に欠いている。
現実に台湾へ工場を戻すとした大手企業は、クアンタ・コンピュータくらいで、大陸からは撤退するが代替工場をフィリピンへ移動するとしたのはデルタ・エレクトロニクス社(アップルに部品を供給)、また深センに工場に新工場を造るが、同時にアメリカにも工場をつくるのが鵬海精密工業である。
かくして台湾の貿易構造は輸出の41%が中国大陸向け(1302億ドル)、残りのうち13%がアジア方面(673億ドル)という歪つな構造であり、しかも年初来七ヶ月の統計をみると、わずかにベトナムへの投資が6億2000万ドルで、同時期に大陸への投資が53億ドルとなって、あべこべに増えている。
▼日本はアメリカの姿勢に背を向ける中国政策の大矛盾
日本も同じである。
トヨタは世の中の動きに逆行して、中国値の投資を増やしている。日産も同様で、中国から撤退を決めたのはスズキだけだ。
中国に長期駐在する日本人は13万強と、これも逆に増えている。
あの反日暴動直後から起きていた中国投資漸減傾向はいつの間にか反対カーブを描いていたことになる。日本経済新聞の煽動的なプロパガンダと経団連の主導、そして与党内のチャイナ派の暗躍などで、こうなったのだ。
そのうえ米中貿易戦争激化で、撤退する日本企業よりも、むしろ奥地にまで進出する日本企業が多い理由は、コンピュータのクラウド関連、システムの構築、そして介護の需要が高まっているからだ。
そこにビジネスがあれば、全体主義国家だろうが、専制政治の国であろうが、出て行って商いをする。いやな国でも、社命なら仕方がないと、企業戦士もまた、別の使命感に燃えるわけだろう。
このような現実をみれば、安部首相が、日米共同声明に背を向けて、一帯一路にも協力すると米国を苛立たせるようなスタンスを堅持し、同時に中国側も、日本にべったりと擦り寄ってきた現象的理由がのみこめる。
トランプの姿勢、ペンスの演説と真っ向から異なる日本のスタンス、はたして之でよいのか?
▽◎◇◎み◇◇▽◎や◇◎◇◇ざ◇◎◇◇き◎◇◇◇
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(休刊予告)小誌、海外取材のため10月21日―26日が休刊です
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平成30年(2018年)10月18日(木曜日)
通巻第5862号
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悪夢の泥沼から台湾企業はなぜ這い上がれないのか?
貿易メカニズムとサプライ・チェーンにビルト・インされてしまった
****************************************米中貿易戦争により、もっとも激甚な株安、そして経済の先行きについて制御できないほどの不安に襲われているのは中国ではなく、じつは台湾である。経済規模がことなるからだ。
台湾の株式市場には1200社が上場されている。その殆どが大陸へ進出している。
中国にどっぷり浸かるという悪夢の泥沼から台湾企業はなぜ這い上がれないのか。それは貿易メカニズム上、中国を基軸とするサプライ・チェーンに台湾経済がずるっとビルト・インされてしまったからだ。
反共の政治立場とか、イデオロギーとかは横に置いて、島嶼国家としての台湾は地政学的経済学からも、対岸の中国福建省、ならびに香港経由の広東への進出は生き延びるためには避けて通れない宿命だった。
過去三十年、累計四万八千社もの台湾企業が中国大陸のあちこちへ上陸して拠点を開設し、投資した金額はおよそ1200億ドルに達すると見積もられている。
これらには個人企業的なラーメン屋から、中国大陸につくった愛人に経営させているスナック店など小規模な投資も含む。
いまさら蔡英文政権が呼びかけるように中国国内の工場を台湾に戻すのは種々の条件を考慮しても、短時日裡の実現が難しい。
第一に土地がない、第二に水資源の問題、そして第三はマンパワーの不足である。日本と同様に台湾は出生率が低く、労働力を死活的に欠いている。
現実に台湾へ工場を戻すとした大手企業は、クアンタ・コンピュータくらいで、大陸からは撤退するが代替工場をフィリピンへ移動するとしたのはデルタ・エレクトロニクス社(アップルに部品を供給)、また深センに工場に新工場を造るが、同時にアメリカにも工場をつくるのが鵬海精密工業である。
かくして台湾の貿易構造は輸出の41%が中国大陸向け(1302億ドル)、残りのうち13%がアジア方面(673億ドル)という歪つな構造であり、しかも年初来七ヶ月の統計をみると、わずかにベトナムへの投資が6億2000万ドルで、同時期に大陸への投資が53億ドルとなって、あべこべに増えている。
▼日本はアメリカの姿勢に背を向ける中国政策の大矛盾
日本も同じである。トヨタは世の中の動きに逆行して、中国値の投資を増やしている。日産も同様で、中国から撤退を決めたのはスズキだけだ。
中国に長期駐在する日本人は13万強と、これも逆に増えている。
あの反日暴動直後から起きていた中国投資漸減傾向はいつの間にか反対カーブを描いていたことになる。日本経済新聞の煽動的なプロパガンダと経団連の主導、そして与党内のチャイナ派の暗躍などで、こうなったのだ。
そのうえ米中貿易戦争激化で、撤退する日本企業よりも、むしろ奥地にまで進出する日本企業が多い理由は、コンピュータのクラウド関連、システムの構築、そして介護の需要が高まっているからだ。
そこにビジネスがあれば、全体主義国家だろうが、専制政治の国であろうが、出て行って商いをする。いやな国でも、社命なら仕方がないと、企業戦士もまた、別の使命感に燃えるわけだろう。
このような現実をみれば、安部首相が、日米共同声明に背を向けて、一帯一路にも協力すると米国を苛立たせるようなスタンスを堅持し、同時に中国側も、日本にべったりと擦り寄ってきた現象的理由がのみこめる。
トランプの姿勢、ペンスの演説と真っ向から異なる日本のスタンス、はたして之でよいのか?
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(休刊予告)小誌、海外取材のため10月21日―26日が休刊です
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