ネパールのギャワリ外相は都内で
日本経済新聞の取材に応じ、インフラ整備で中国と協力を拡大する意向を示した。首都
カトマンズと中国
チベット自治区を結ぶ鉄道の建設が柱で、道路や通信も生かして結びつきを強める。
内陸国の欠点を補うため「世界第2の経済大国と連携して経済や技術の発展につなげる。輸出入の輸送コストを引き下げたい」と語った。
チベット自治区では中心都市ラサからネパールに至るルート上にあるシガツェまで、鉄道が2014年に開通しており、これを延伸する。ネパールにとって中国との国境をまたぐ鉄道は初めて。地元報道によると、延伸距離は約660キロメートルになるという。
外相は「今後1年半程度で実現可能性の詳細な評価を実施する。その後は6年程度かけて建設する」と述べた。初期調査の段階で見込まれる投資額は「25億ドル(約2800億円)だが、
建設現場はヒマラヤ山脈など厳しい環境下にあるため経費は膨らむ可能性もある」とした。中国の資金供与が大半となる見通しというが「ネパール政府も一部を負担する」考えだ。
中国政府は広域経済圏構想「一帯一路」を通じて周辺国への影響力を広げようとしている。ネパールとの間での鉄道建設もその一環。ただ周辺国にとっては中国からの過剰な借り入れで返済が難しくなる「債務のわな」に陥る
スリランカのような国もある。
外相は「何が必要で、何が必要でないかの最終的な判断は我々自身が決定する。融資のモラルについては議論する」と述べ、中国をけん制した。ネパール
投資庁によると、
国内総生産(
GDP)比の債務比率は27%と、比較的低い水準にとどまってる。
ネパールは投資や貿易ではインドとの関係が深い。ただ15年後半から16年にかけてはインドから事実上の国境封鎖を受けて燃料が枯渇したこともある。中国との関係を強化して、両大国の間でバランスの取れた外交を展開したい考えだ。
ネパールで15年4月におきた大
地震では約9千人が死亡した。復興状況については「個人住居の回復は半分強にとどまる」と指摘。残りの住居の再建のためには「資金が不足している」と述べ、国際社会へのさらなる支援を呼びかけた。
日本企業については「技術力が高い」と評価し、
水力発電、空港や道路などの輸送関連、農業分野での投資を期待した。国内には
所得税が減免される
経済特区を14カ所設ける計画といい、進出を呼びかけた。