パルデンの会

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中国政府が、チベット仏教の高僧の後継者(転生者)選びについて、宗教局の承認を得なければならないという法律を一方的に作った.。中国政府の干渉は宗教への弾圧に当たるという主旨の批判決議や声明を出している。残念ながら、日本で同様の声明を出しているのは、今のところ世界連邦日本仏教徒協議会だけである。

信仰の自由と道徳の再認識

  ペマ・ギャルポ  2023/2/20(月)  Viewpoint  

拓殖大学国際日本文化研究所客員教授 ペマ・ギャルポ

 

中国の宗教弾圧に関心を
ダライ・ラマ後継選びに介入

 

 

 

 最近、私が関心を持ち、また注目しているのは法律と道徳の問題である。その一つは、中国政府が、チベット仏教の高僧の後継者(転生者)選びについて、宗教局の承認を得なければならないという法律を一方的に作ったことだ。

 認定された少年を拉致

 元来、高僧の死後、その生まれ変わりの子供を探し後継にする「輪廻(りんね)転生制度」は、チベットの人々の慣習と信仰に基づいて、約1000年続く固有の価値観である。この制度が今日まで続いているのは、チベットの人々の強い信仰心と輪廻転生を信じる仏教の教えに即したものだ。

 これに対して、中国政府が強制力のある法律を押し付けることは、チベット人はもとより、輪廻転生を信じる仏教徒のみならず、来世を信じるあらゆる宗教にも受け入れ難いものであるはずだ。宗教を阿片(あへん)として扱い否定する中国共産党がこの問題に関与することは道理に合わない。中国政府がこの制度を政治の道具として利用し、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世の後継者選びに干渉する意図があることは明白である。

 中国共産党指導者たちは、ダライ・ラマに次ぐ高位者、パンチェン・ラマの転生にも干渉してきた。1995年5月、ダライ・ラマ14世によってパンチェン・ラマ11世に認定されたゲンドゥン・チェーキ・ニマ少年を、わずか3日後に当局が拉致し、いまだに生存が確認できていない。代わりに同年11月、当局はゲェンツェン・ノルブ少年をパンチェン・ラマとして認定した。しかし、チベット国民とチベット仏教徒たちはこの偽物を認知していない。

チベット仏教の中心、ポタラ宮(Wikipediaより)

チベット仏教の中心、ポタラ宮Wikipediaより)

 

 中国政府は、チベットの歴史を捏造(ねつぞう)し、歴代ダライ・ラマ法王の認証は中国が行ってきたと言って、次のダライ・ラマ法王も自分たちが認定する構えを見せている。もちろん、この主張に根拠はない。1940年2月22日に行われた現14世の即位式には、中国もネパールなど外国使節団の一員として参加したにすぎない。

 このような中国の動向に対し、米国・欧州議会をはじめ、さまざまな団体や著名人らが、これは信仰に基づいたチベット固有の問題であり、中国政府の干渉は宗教への弾圧に当たるという主旨の批判決議や声明を出している。残念ながら、日本で同様の声明を出しているのは、今のところ世界連邦日本仏教徒協議会だけである。

 これに関しては、日本側の無関心さだけでなく、私たちチベット人およびチベット仏教徒の発信力不足も反省しなければならない。世界的には、この問題は非常に注目されているので、日本政府、人権団体、ならびに信仰の自由を尊ぶ皆さんにも関心を持っていただきたいと切に願うものである。

 そもそも政教分離とは、国家が特定の宗教を贔屓(ひいき)したり弾圧したりしてはならないということであって、社会から排除するものではないはずだ。元来、法律とは、社会秩序と平和を維持し、人々が幸せに暮らすための決まりで、それに違反した場合には処罰などが生じる。 だが、人間社会においては法律以前の問題として道徳や社会規範が尊重されることで家庭・社会・世界の平和が保たれてきた。

 昨今、中国による国際秩序の破壊のみならず、私たちの周りにも人間としての最低限度の道徳観が欠け、善悪の区別がつかない個人や国家が目立っている。日本においても、「ルフィ」と名乗る男をリーダーとする集団強盗事件、飲食店での悪戯(いたずら)を映した不謹慎動画の投稿、無差別通り魔事件などが頻繁に起こっている。今の社会は、人間としての最低限度の道徳や倫理が欠如しているようにみえる。

 互いに尊重する努力を

 マハトマ・ガンディーは、「人間と獣の違いは道徳観の有無で決まる。そして、道徳には、宗教的背景のないものはない」と言っている。もちろん、宗教は個人の問題であり、国家や法律によって強制すべきものではないが、互いの宗教を尊重し理解しようとする努力も、社会の安定と世界平和のためには必要ではないだろうか。

 

 

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