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警視庁公安部の暴走 現役捜査員も「捏造だった」と証言, 中国案件は果たして個人の暴走か?? 裏に中国共産党の魔の手はないのか??

現役捜査員も「捏造だった」と証言、捜査を仕切った関係者らは事件後に昇進 女性を自殺未遂に追い込んだ警視庁公安部の暴走

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デイリー新潮

 警視庁に激震が走っている。ある国内メーカーを見舞った「冤罪事件」。国は賠償を求めた訴訟を起こされたのだが、その裁判の過程で現役捜査員が事件捜査に「捏造(ねつぞう)」があったと認めたのだ。一体、権力機構に何が起こったというのか。 【写真を見る】国賠訴訟に踏み切った大川原化工機事件の大川原正明社長  ***

 隠密行動で知られる警視庁公安部の捜査員が素性を明かし、素顔を人前にさらすことは珍しい。だが6月30日、東京地裁第712号法廷で42名の傍聴人が注視する中、証言台に立ったのは公安部の精鋭・外事1課に籍を置く警部補だった。  彼は振り絞るような声で言葉を発した。 「まあ……捏造ですね」  それは、現役捜査員が警察の不正を公に認める変事の起きた瞬間だった。  鉄の結束を誇る公安部の一員は、なぜ組織に矢を放ったのか。「冤罪事件」のあらましはこうだ。

不当に逮捕・拘束

 舞台は神奈川県横浜市に本社があるメーカー・大川原化工機。主力製品はインスタントラーメンの粉末調味料などの製造に用いる「噴霧乾燥機」で、その分野では国内シェア7割を誇る。 「同社が噴霧乾燥機1台を中国に輸出したことを、警視庁公安部外事1課が“経産相の認可を得ずに、生物兵器製造に転用可能な機材を輸出した”と認定し、事件は動き始めます」  と言うのは全国紙社会部デスク。 「公安部は2018年10月に本社や社長の自宅を捜索。以来、社長らに、計200回以上も任意聴取を行い、20年3月に社長以下、同社の3名を外為法の輸出管理規制に違反した疑いで逮捕しました」  しかし、と続ける。 「この乾燥機は国際基準に照らすと生物兵器製造に転用可能なものではなく、本来、経産相の認可を得る必要はありませんでした。ただ、経産省の輸出規制に関わる省令等の解釈が定まっておらず、そこに公安部は目をつけた。同社が噴霧乾燥機を“経産相の認可もないまま不正に輸出した”というストーリーを作り、立件するため社長らを不当に逮捕・拘束。その過程で証拠を捏造していたわけです」  大川原正明社長(74)、島田順司元取締役(70)、相嶋静夫元顧問(享年72)の勾留は長期に及んだ。 「逃亡や証拠隠滅のおそれはなかったにもかかわらず、大川原社長と島田元取締役の保釈請求が認められたのは逮捕から11カ月後、21年2月に入ってからです。また、相嶋元顧問は勾留中に胃がんが発覚しながら保釈請求が認められなかった。そのため治療が遅れ、がんで命を落としました」

まさに組織的な犯罪」

 結局、東京地検は「法規制に該当することの立証が困難と判断」したとして刑事裁判が始まる直前、公訴取り消しを申し立て、21年8月に公訴棄却が決定。大川原社長、島田元取締役、相嶋元顧問の遺族は翌9月、国と東京都を相手に総額5億6500万円の賠償を求めて提訴した。この国賠訴訟の代理人・高田剛弁護士によると、 「島田元取締役は、逮捕後に作成される弁解録取書を勝手に作られていました。本人が“捏造”に気付いたため、捜査員はその弁録を破棄したのですが、本来、弁録は公文書。勝手に破棄などできないはずで、まさに組織的な犯罪ですよ」  先のデスクも言う。 「技術や情報の海外流出を防ぐ『経済安全保障』の旗印の下、政府内には事件摘発の実績を上げたいという空気感があり、それが捜査現場に圧力として働いたと考えられます」  その末に事件をでっち上げ、人ひとりの命をも奪ったのだから、確かに国家による類のない重大犯罪だと言うほかあるまい。

駅のホームで身を投げようと…

 大川原社長本人が語る。 「警察としては、島田くんが事件を画策し、僕と相嶋さんが共謀したという筋書きにしたかったはず。だからこそ、任意聴取でも勾留中の取り調べでも、島田くんを徹底的に責め、ポロッと認めてしまうのを待っていたようです」  当局の任意聴取に約40回も応じた、ある女性社員もこう明かす。 「平均で4~5時間、長いと8~9時間、原宿署の窓のない部屋で聴取を受けました。言ってもいないことを調書に書かれて、こちらが“直してください”と求めてもなかなか応じてくれない。その繰り返しです。しかも“他の人たちは事件を認めている”と脅してもくるのです。長時間の聴取を終えたある日、疲れ果てて、思わず地下鉄の駅のホームで身を投げようとしてしまって……」  女性は幸いにも、ホーム備え付けの転落防止ドアに防がれて無事だった。その後、うつ病と診断され、記憶が喚起されそうな方面へと向かう電車には今なお乗れずにいるという。

「キーマン」は係長

 さて、冒頭は、国賠訴訟の証人尋問の場面である。 「証言台に立ったのは、捜査に捏造があったと明言した現役の外事1課員のほか、3名の外事1課OBです。うち1名は、やはり捜査に批判的で“捜査幹部がマイナス証拠をすべて取り上げない姿勢があった”と証言しました」(前出デスク)  一見すると“まさか”の反旗だが、警視庁の幹部はこの事態を予期していたというからなお驚く。 「警視庁では、証人尋問の前に、裁判対策を担う訟務課による“証人テスト”を実施します。今回、裁判で捜査に異議を唱えた2名は“証人尋問本番では捜査の捏造を訴える”とテストの際に語っていた。彼らの意思は固く、幹部らも“無理に翻意を促そうものなら、そのことをさらに問題にされかねない”と考え、説得するのに二の足を踏んだようです」(警視庁関係者)  当事者はどう語るか。件の外事1課OBの自宅を訪ねると、本人が応じて、 「公判の場なら答えることができますが、別の場ではお話しすることはできません。やはり、警察官としての守秘義務がありますから」  前出の高田弁護士が“事件の核心”について語る。 「捜査を当時仕切っていたのは、警視庁公安部外事1課の管理官と第5係長です。特に、キーマンは第5係長のほうでしょう」

事件後に出世

 現在、亀有署で警備課長の任にある宮園勇人警視だ。 「宮園警視は部下から“客観的な事実に基づき捜査を行うべきです”と進言されながら、その部下を“事件を潰す気か。責任を取れるのか”と怒鳴りつけ、無理筋な捜査を推し進めた張本人。当時は警部でしたが事件後、出世しました。宮園警視の下で強引な取り調べを行った警部補も事件後、警部に昇進。今は蒲田署に勤務しています」(同)  亀有署の宮園警視と蒲田署の警部。二人は証人尋問にも呼ばれたのだが、 「ともに尋問で捜査を正当化しました。とりわけ宮園警視は“当時は着手すべき事件だった”と開き直りました」(前出デスク)  本誌(「週刊新潮」)は千葉県千葉市のマンションに暮らす宮園警視に接触。しかし、本人はインターホン越しに、 「裁判中なので言えません。(証拠の捏造などについては)それ、違います」  と、答えるのみだった。  先の大川原社長が言う。 「私が自ら罪を認めてしまったら、会社は潰れてしまう。社員や社員の家族のことを考えて踏み止まった」  公安部とは一体、何を守るべき組織なのだろうか。

週刊新潮」2023年7月20日号 掲載