パルデンの会

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「チベット、ウイグル、香港、加害者はすべて同じだ」チベット亡命政府のペンパ・ツェリン首相が7日までに産経新聞の単独インタビューに応じた。

チベット亡命政府ペンパ・ツェリン首相インタビュー詳報「チベットウイグル、香港、加害者はすべて同じだ」

チベット亡命政府ペンパ・ツェリン首相インタビュー詳報「チベット、ウイグル、香港、加害者はすべて同じだ」

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チベット亡命政府ペンパ・ツェリン首相が7日までに産経新聞の単独インタビューに応じた。

 インタビューの詳細は次の通り。

-現在のチベット国内の人権状況は

「中国全土で多くの法律が改正され、チベットではより厳格に施行されている。中国の法律は非常にあいまいで、中国当局に都合のいいように解釈されることが問題だ。チベット内部では、すべてが厳しく統制されている。チベット人には何の権利もない。私たちは、中国当局が国際社会から提起されている人権問題などチベット人の現状に耳を傾けてくれることを望んでいる。しかし、現実はそうはなっていない」

「中国はあらゆる手段を使って人々をコントロールしている。DNA情報の収集が進み、ここ2~3年のチベット人の監視はより激しさを増した。そして個人を識別するため、チベット人の目の虹彩もスキャンし始めた」

-なぜ中国は個人を識別できる情報の収集を急いでいるのか

「統制しやすくするためだ。例えば、私の兄弟が政治活動で捕まったとしよう。彼のDNA情報によって、私のことも知られ、私も容疑者として扱われることになる。私もまた中国のレーダーの中にいるのだ。個人が何かすれば、その親族が捕まる。また、チベット人は現金と引き換えに政治活動に関する情報を密告するよう奨励されている」

チベット仏教の信仰の現状は

「今のチベットには信教の自由は存在しない。寺院は今は中国の情報機関や他のいくつかの部門が管理している。僧侶の数は激減した。監視カメラの大々的な使用も行われている。僧侶が別の場所へ移動する場合、少なくとも4~5種類の許可が必要となり、移動の自由もない」

「もうひとつ指摘したいのは言語の問題だ。チベット語の使用は奨励されていない。中国がこのことについて質問されると、いつも『米国のネーティブアメリカンに対する扱いやオーストラリアのアボリジニに対する扱いはどうなのか』と反論する。米豪の(先住民への)対応は間違っていたが、米豪は歴史的な過ちを正そうとしている。中国は、チベットで間違っていることを承知の上で弾圧している」

-教育については

「現在、多くの寄宿学校があり、子供たちはそこで学ばなければならない。言語、文化、宗教、生活様式など、チベット人を中国人に変える目的だ。私たちは教育そのものに反対しているわけではない。しかし、私たち民族のアイデンティティーを変えることは、私たちの文化に対する攻撃で、文化的虐殺に近い。総じてチベットの現状は非常に厳しい。チベットは緩やかな死を迎えようとしている。ヘビに締め付けられているようなものだ」

チベット内での抗議やデモはどうなっているのか。かつては多くの僧侶が中国政府に抗議するために焼身自殺を試みた

「これまでに157人のチベット人が抗議のために自殺した。ただ、最近では少ない。自殺すれば、それは(DNA情報が記録されていることで)家族ら自分に関係のある人が標的になることを意味するためだ。チベットで表立った抗議が減ったことは間違いない」

ウイグル人の状況については国際的な非難が高まっているが、チベットについては盛り上がりが欠けているように感じる

「法王(ダライ・ラマ14世)が以前ほど広範囲に世界を旅していないという事実がある。ただ、世界的に政治家というものは、常に話題性のあるテーマを取り上げるものだ。私たちはそれを理解している。私はウイグル人の友人に、加害者が同じである限り、どの地域により焦点が当たっているかは関係ないと言っている。ウイグル人、香港の住民、台湾人などすべて同じだ。国際社会は、中国がどれだけ人々を抑圧しているか理解するだろう」

-国際的にチベットの現状を知ってもらうよう働きかけは続けているか

「過去50~60年間、私たちは中国の本当の姿を世界に伝えている。チベット人は古来より中国人と共存してきた。ゆえに、私たちは欧米諸国よりも、日本よりも中国を理解している。われわれは歴史を知っている。現在の指導部が何をどう考えているかも知っている」

「かつて米国は、中国が国際社会の一員になれば、より責任感を持ち、ルールや国際法、規範に従うようになるだろうと考えていた。しかし、それはまったく逆だった。中国は自分たちに有利なルールしか守らず、自分たちの利益にならないルールがあれば、それを破っても気にしない。世界の国々はその教訓を学んだ。今、特に欧州はそれを理解しているだろう。ロシアは当面の脅威だが、中国は長期的な課題だ。プーチン露大統領のウクライナ侵略に対する中国の立場を見て、中国は西欧のどの国ともリンクしないと気づき始めた」

-インドは国境地帯で中国と摩擦を抱えている。インドについての考えは

「インドは中国に対応する能力がある。亡命政府はインド政府が中国に対してとっている姿勢に満足している。私はいつもインドの友人に『もしあなたが自分の価値観を守らず、自分の立場を貫かないなら、中国は決してあなたを尊敬しない』と言っている。中国が恐れ、敬意を払うのは強さであって、弱さではない。欧州の人たちにも言いたいが、従順なポニーになりたいのなら、そうすればいい。今、インドは立ち上がっている」

ダライ・ラマ14世は健康だが高齢でもある。彼の後継者についての考えは

「後継については、すべては法王が決めることだ。法王が次のダライ・ラマをどのように選びたいのかはわからない。ただ、多くの可能性があることを今はっきりさせれば、中国はそれに対抗する準備を整えるだろう」

「中国は何よりダライ・ラマ15世に関心がある。(14世が世を去る)もしもの時が来れば、彼らが自分たちのダライ・ラマを擁立することは明らかだ。しかし、私は中国人に、パンチェン・ラマの教訓から何も学んでいないのかと言いたい。中国が選んだパンチェン・ラマは、現在のチベットでは尊敬されていない」

ダライ・ラマに次ぐ宗教的権威を持つとされるパンチェン・ラマ10世が1989年に死去した後、ダライ・ラマ14世は当時6歳だった男子をパンチェン・ラマ11世に認定した。しかし、中国政府は別の男子を擁立。その後、ダライ・ラマ14世が認定した男子は行方がわからなくなっている》

チベット仏教には高僧が死後に生まれ変わる輪廻転生(りんねてんせい)の考え方がある。次代のダライ・ラマ選出でそれは維持されるのか。それとも14世は生前に後継者を指名するのか

「法王の輪廻転生に関する実際の見解については、亡命政府でも発言権を持たない。それを決めるのは本人だけだ。いくつかの内部会議の結果によると、法王が90歳になったら、(亡命政府があるインド北部)ダラムサラで会議が開かれ、何らかの決定が示される予定だ。しかし、それは2年先のことだ」

-14世は90歳の時点で後継者を発表するのか

「あと2年待ってみよう。2年後でも、法王は『今は後継者を発表するのに時期尚早だ』などと話すかもしれない。私たちは法王に何かを強制することはできない。生まれ変わりについて考えるのは法王自身で、すべて法王自身が決めることだ」

-亡命政府はチベットでの高度な自治を求める「中道路線」を取るが、それは今後も維持されるか

「個人的な見解だが、歴史的に言えば、チベットは常に中国から独立していた。しかし、中国が硬直的であるため、私たちは中道的なアプローチで妥協したのだ。歴史的に言えば、チベットにおける中国の支配に正当性はない」

-日本政府にメッセージはあるか

チベットに対する日本の立場は、何年も揺らぐことがなく、高く評価している。また、日本が(一方的な現状変更である)ウクライナ侵略に強く反対していることに拍手を送りたい。日本がこのような強硬な立場を取るとは思ってもいなかった」