~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024年)7月24日(水曜日)
通巻第8341号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
見えてきた、ウクライナ戦争の終わり
米軍のベトナム、ラオス、カンボジア、アフガニスタン、イラク撤退劇の教訓
**************************************
健忘症のアメリカ人は歴史家でも戦略家でもないから戦争の教訓を忘れている。
そのうえ、米国はウクライナへ軍事顧問団を派遣してはいるが、米軍の直接介入を避け、経済援助、武器援助と後方の支援に巨額を投じた(7月23日の『モスクワニュース』の報道によればハリコフ近郊で『外国人傭兵』五十名が死亡したとか。国籍は不明。三月には日本人の志願兵死亡も確認された)。
現在のアメリカを蔽う空気は厭戦。ウクライナへの「援助疲れ」と虚無感。つまりバイデン政権にとっては、「後は野となれ山となれ」の心境ではないのか。
いずれゼレンスキーは邪魔となり、海外亡命の準備に入るだろう。戦後の後始末は日本にさせる予定らしいゾ。
1973年3月、ニクソン政権はJFKが始めた泥沼、ベトナム戦争の処理に追われ、パリ協定を成立させ、米軍は撤退を始めた。ニクソンは「名誉ある撤退」と言ったが、1975年 サイゴンが陥落した。
親米派だった南ベトナム、ラオス、カンボジアから多くの亡命を米国は受け入れざるを得なかった。ちなみにラオスのモン族だけでも17万人が米国へ渡った。
インドシナ三ケ国はホーチミンルートに拘わったため、ベトナム戦争に巻き込まれた。1970年にロンノルのクーデターで全権を掌握し、となりのラオスとセットだったが、75年にポルポトの独裁が開始され、カンボジア全土がキリングフィールドとなった。総ては米国の不始末が原因である。
アフガニスタンは911テロの報復が動機となり、クリントンはミサイル攻撃を開始した。トマホークを洋上から50発お見舞いして、戦争準備を始めた。
兵站がととのうと、米軍はアフガニスタン空爆を開始し、翌月にはカブールを奪還した。しかしタリバンは強く、泥沼が二〇年つづき、2021年8月、バイデンが撤退を命じた。じつに不名誉な撤退となり、アメリカが「育てた」アフガニスタン政府軍は雲散霧消、ガニ「大統領」は海外へ逃亡し、米軍が置き去りにした最新兵器は世界のテロリストに密輸された。
ウクライナへ供与した最新兵器の一部はすでに世界のテロリストの手に渡った。
イラクへの介入は2003年から九年間も続き、米兵の犠牲は4500人。2011年になんだかわけがわからないまま撤退した。イラクを治めたサダムフセインが死刑となって、イランが支援するシーア派が天下を取った。逆説的な結末だった。
すべては派手に介入し、不名誉な撤退をなし、後は野となれ山となれ。明日のウクライナの命運が見えた。
一方、イスラエルだが、トランプがカムバックすると、支援継続はかたちが変わるだろう。げんにネタニヤフは訪米して、バイデン政権とも話し合ったが、すぐにフロリダへ飛んでトランプとあう。事実上、アメリカを動かしているのはトランプということである。
☆◎☆◎ミ○☆◎☆◎ヤ◎☆◎○☆ザ◎☆○☆◎キ◎◎○☆□