パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

々と進んでいる拉致被害者奪還の現状


勝谷誠彦氏の有料ブログより
2014年3月8日号。<欧米べったりの大マスコミのウクライナ報道の一方で粛々と進んでいる拉致被害者奪還の現状を見ておこう>。


 3時半起床。鹿児島市
 京都まで新幹線での移動なので、ちょっと早起き。その乗りごこちは明日にでも書きますが、昔は夜行列車でひとばんかかったことを考えると「鉄」の端くれとしてはちょっと信じがたいことである。
 鹿児島の夜についてはあとで振り返ってみます。愉楽の街です。

 日本国の外交がやっと機能しはじめている感触がある。やはり、役人というのは政治がちゃんと自律した判断をできるようになってはじめて使えるのだ。私はここでずっと官僚批判をしていて、母校の(私が言う母校は高校までのことです)同級生でもキャリアが多く、彼らがいかに優秀で国のために献身しているかを知っているだけに、一般論に巻き込むのが心苦しかったのだが、なるほど、命じる側がよほど馬鹿だったのだなあと、不覚にもいまごろになって再確認するのである。
 世界中の目が注目しているウクライナにはあとで触れるとして、その報道の陰に隠れている北朝鮮との関係だ。
 安倍晋三首相が「私の在任中に道筋をつけます」と言っていることの中で、外交面で大きなものは二つある。二つとも、本来ならば主権国家たる日本に帰属するものを「奪還」することであるのが面白い。まさにそれこそが安倍さんの望む「本当の日本の回復」なのだろう。やってのけてやっと「ゼロ」である。出発点に戻るだけなのだ。損な役回りを毅然としてやろうとしていると思う。「拉致被害者」と「北方領土」の奪還だ。
 その北朝鮮。ずいぶんと中はゴタゴタしているらしい。あそこは気が狂っているなりに儒教国家なので、父や祖父が決めたことはなかなか変更できないのだが、金正恩というのはよほど知能指数が低いらしくて、それが守られていない。先人が決めたことを平気でひっくりかえしている。だからこそ、拉致被害者奪還も可能なのだ。その頭の悪さで支那にも見限られて経済的にどんどん困っている。日本に秋波を送ってきているというのはそういうわけだ。つけ込む時である。
 餌に飢えたゴキブリが台所に出て来るようなものだが、少し前にまず奴らがノコノコと現れたのにちょっと驚いた。
 <日朝赤十字会談始まる/遺骨返還や墓参など協議>
 http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS03001_T00C14A3MM0000/
 <日本赤十字社北朝鮮の朝鮮赤十字会による会談が3日午前、中国・瀋陽市内のホテルで始まった。終戦前後の混乱で現在の北朝鮮地域に残留し死亡した日本人の遺骨返還や遺族の墓参などの問題を午後にかけて話し合う。日朝両政府の外務省担当者が同席する異例の形式で、会談内容を踏まえて非公式の政府間協議が行われる可能性がある。
 日朝の赤十字会談は2012年8月以来で、約1年7カ月ぶり。北朝鮮側の呼びかけで実現した。日本側は日赤の田坂治国際部長と外務省の小野啓一北東アジア課長ら、北朝鮮側は朝鮮赤十字会の李虎林(リ・ホリム)事務総長と外務省の劉成日(リュ・ソンイル)日本課長らが出席した。>
 とことん食えなくなった朝鮮乞食が何か寄越せということがきっかけなのだから、こんなもの無視しろと言いたいところだが、私たちの究極の目的は拉致された同胞を、家族が元気なうちに取り戻すことである。あらゆる手段はとるべきで、仕方がない。
 この報道で私はピンと来た。「遺骨」は奴らの口実にすぎない。ホンネは援助なのだが、であれば両国の外務省の課長クラスが同席する必要はない。北朝鮮は何か大きな切り札を持っているな、と感じるのが外交というものである。日本側が軽々しく、課長クラスを出すわけがないのだ。相手の感触を事前に察知しているはずだ。はたして、交渉の最初では向こうが無視していた「拉致」の二文字が表面化してきた。最新のニュースだ。
 <日本、拉致協議の再開提案/北朝鮮「持ち帰る」>
 http://digital.asahi.com/articles/ASG3761RKG37UTFK00P.html?iref=comkiji_redirect
 <中国・瀋陽市で3日に行われた日本と北朝鮮の外務省担当課長による非公式の政府間協議の概要がわかった。日本側が拉致問題を話し合う外務省局長級の協議再開を提案し、北朝鮮側が「本国に持ち帰る」と回答していた。日本政府関係者が明らかにした。>
 外交の言葉というのは本当にわかりにくいが、ここが大切である。
 <政府関係者によると、日本側は、201211月にモンゴルで行われた局長級による政府間協議について言及。北朝鮮側が「拉致問題は解決済みという立場だが、このままでは平行線だ」と述べて対話の継続を認めたことを取り上げ、この内容を前提とした局長級協議の再開を求めた。日本の世論が交渉の進展を望んでいることも伝えたという。>
 <解決済み>ならば北朝鮮としては突っぱねればいいわけである。それを「持ち帰る」と言ったのは大きい。独裁者の意向で<解決済み>といったんは言っているものを「持ち帰」ったならば、機関銃でボロボロにされてそのあと火炎放射器で焼かれるのが、いまの「北朝鮮のトレンド」だ(笑)。つまりは、拉致犯罪に対して何らかの動きを考えているのである。
 これは日本側からの丁寧な下工作がきいていると考えるべきだ。それを私はこの日記でおずおずと自信なげに指摘してきた。安倍さんが仕掛けていると思ったからだ。去年の10月5日の日記では、私はこの記事に注目している。
 <安倍政権、外務副大臣に岸氏起用のからくり/基盤強化へ「極みの一手」>
 http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20131001/plt1310011138002-n1.htm
 紙幅が惜しいので記事は再びは引かない。受けての私の見立てはこうだった。
 <私は「実弟以外に信頼できない」ほどの極秘交渉が待ち構えているのではないかと推察するのだ。相手はもちろん北朝鮮。そこで展開されるのは「外交」ではなく「工作戦争」だ。お互いに、どう機密をリークして相手を揺さぶるか、ギリギリの戦いとなる。そうなるともはや「他人」では信用しきれない。だから実弟だ。戦国武将が、肝心なところには肉親を起用したことに似ている。>
 ようやくそれが始まったと考えていいのではないか。

 安倍さんはどうやら「外交は得意技」だと自覚しはじめているような気がする。思えば拉致された同胞を取り戻す時も、小泉純一郎首相の「喧嘩のカン」に加えて部下だった安倍さんの「外交のカン」が役立ったように思われる。
 ウクライナ情勢を巡る日本国の立ち位置の微妙さについてはずっと触れているが、ここへ来ての対応もなかなかいい。朝日新聞は相変わらず支那の意向を受けてか「反日離米」の努力をしているが、書いてる「事実」はまあ、少しは資料としては役に立つ。
 <対ロ制裁、日本苦慮/米は同調働きかけ/ウクライナ問題>
 http://digital.asahi.com/articles/ASG3775PPG37UHBI03R.html?iref=comkiji_redirect
 <日米首脳の7日の電話協議も、米側の要請で行われた。ウクライナ情勢をめぐる話し合いは約40分間におよび、両氏は、日米などロシアをのぞく主要7カ国(G7)で出した「ロシアがウクライナの主権と領土の統一を侵害しているのは明らかだ」とする声明の重要性を確認した。>
 先日も書いたが、首脳どうしの電話会談で長引くというのは、どちらかのトップが周囲に見放されているということだ。シャチョーどうしの電話を考えてみてください。「来週のゴルフ、楽しみでんなあ」「いやいや、また、あのおね~ちゃん連れてきはるとか」「いやいやいや」とかがほとんどで最後に「例の件、あんじょうたのみますわ」「もちろんでんがな、ではでは」が(なぜか関西弁ですんまへん)まあ普通でしょう。ガチなネゴをそこでやるわけがない。
 ところがオバマ大統領はやるんですねえ。安倍さんも辟易したのではないか。通訳を通しているから実質は20分の電話だったろうが、長すぎる。「説得」がそこにはあったように私には思われる。はたして。
 <オバマ氏は、資産凍結やビザ発給の停止など米国の対ロシア経済制裁について説明。安倍氏オバマ氏の努力に支持を表明し、「ウクライナ情勢の早期改善を期待する」と伝えた。両氏はウクライナの経済、政治改革のための支援を進めることで一致したが制裁に関する日本の対応は明確にしなかった。>
 昨日「ロシアのメディアも見ておいた方がいい」というようなことをここで書いた。朝日新聞はまさかこの日記を読んでいるわけではあるまいが(笑)。
 <ロシア・ノーボスチ通信は7日、日本はウクライナ情勢を理由とするロシアへの制裁は検討していないと、東京発で報じた。>  第二次安倍政権になって、日本国の外交は「劇的に変化した」と言っていいのではないか。その変化を促したのは、実はアメリカ、それも歴史上もっとも外交的に無能なオバマさんだ。日本人は歴史というものはジワジワと動くと思いがちだが、たとえばウクライナのような場所に住んでいる人々はそうは考えない。12年で、どうにでもなるのだ。
 私もフィリピンなどでそれを実感しているから20年間もデフレのゆでガエルになっていてボーッとしていたこの国の人々がちょっと信じられなかった。それがコラムを書いたり、この日記をお送りすることになったきっかけではある。
 安倍さんが目指す「戦後レジームからの脱却」は憲法改正などという国内的なことではなく、実は外から起きるのかも知れませんね。日本国の「革命」は白村江の戦いから始まって黒船、大東亜戦争まで、いつも「外」からやってきた。そういう先例を考えると、なかなか面白い。あ~、休日の旅先だというのに、何だか重いことを書いてしまった。ではちょっと、旅の話で口直し。

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