辺野古移設埋め立て承認取り消しへ 政府、効力停止で移設推進 翁長氏、頼みの綱は世論戦
http://www.sankei.com/images/news/150915/plt1509150007-n1.jpg米軍普天間飛行場(沖縄県宜(ぎ)野(の)湾(わん)市)の名護市辺野古移設で政府と沖縄県は14日、全面対決に入った。政府は埋め立て承認の取り消しの効力停止で辺野古移設を推進しつつ、基地縮小を翁長(おなが)雄志(たけし)知事が阻んでいるという構図を浮き彫りにして攻勢に転じる構え。一方、翁長氏は法廷闘争に不安を抱え、世論戦が頼みの綱となる。
承認取り消しへの対抗策は行政不服審査法による効力停止だ。翁長氏が3月に辺野古沖での移設作業中止を防衛省に指示した際、林芳正農林水産相は「普天間飛行場の危険性継続」と「日米関係への悪影響」を理由に、防衛省の不服申し立てから6日後に指示の効力を停止。今回の太田昭宏国土交通相への申し立てでも、これが「効力停止の論拠になり得る」(政府高官)という。
一方、翁長氏は埋め立て承認の取り消しの「原因となる事実」と題する文書を公表した。承認の瑕(か)疵(し)を指摘した有識者委員会の報告書のうち主に環境対策の不備を引用しているが、県幹部は「法廷闘争では『ただちに違法とまではいえない』と切り捨てられるのでは」と指摘する。
翁長氏は今月下旬の国連人権理事会で辺野古移設反対を訴えるが、どこまで共感を得られるか未知数。埋め立て承認の取り消しを上回る手札は見当たらず、法廷闘争も時間がかかる。その間、移設工事は進み、反対派が不満を募らせれば、県民投票や再度の知事選で求心力を維持しようとすることが現実味を帯びる。(半沢尚久、田中一世)
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