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亡命チベット人深まる「怒り」と「憂鬱」



2018.3.2922:31 産経新聞より転載

亡命チベット人深まる「怒り」と「憂鬱」 習近平氏の権力基盤強化「明るい未来見えぬ」

インドに住む亡命チベット人たちに動揺が広がっている。チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世を徹底的に批判する中国の習近平国家主席が生涯にわたって地位を維持する道を開いたことに加え、インドが中国に“配慮”する姿勢を見せているためだ。「明るい未来が見えない状況だ」。ダライ・ラマが居住し、亡命政府が拠点を置くインド北部ダラムサラでは怒りと憂鬱の声が聞こえた。ダラムサラ 森浩)
「帰国して家族の顔を見たいが、それはもう無理だろう。中国の体制が変わらない以上、あきらめが深まっている」
中国チベット自治区ラサからインドに脱出し、ダラムサラ近郊で運送業に従事するカルマさん(51)は天を仰ぎながら話した。
カルマさんは、2008年3月に起きた中国の抑圧的な統治への抗議デモ「チベット騒乱」に参加して拘束され、09年に保釈された際にインドに亡命した。拘束時に暴行を受け、今も耳が聞こえにくい。
ダライ・ラマが1959年3月にインドに亡命して以来、多くのチベット人ダラムサラを目指して国境を越えた。現在約10万人のチベット人がインドに住んでいるが、亡命者数は減りつつあるという。中国側の警備が厳重になったことや、ネパールの“親中化”で同国経由の亡命が困難になったためだ。
カルマさんの仲間たちも拘束されており、今は現地の情報が取れなくなりつつあるという。チベット人に強硬姿勢を取る習氏が任期撤廃により長期政権化する可能性が出たことで、「事態が好転する兆しはない」とカルマさんは話した。
さらに亡命チベット人が懸念するのは、インドの動向だ。インド政府は2月に政府関係者に対し、チベット亡命政府関連行事の参加自粛通知を出した。「昨夏のドクラム高原での両軍対峙で中印関係は冷え込んだ。インド側は事を荒立てたくないと感じているかもしれない」と印シンクタンク、中国問題研究所のツェリン・チョンゾム・ブティア研究員は分析する。
こうした中、ダライ・ラマが出席する行事の変更や中止が相次ぐ。17日にダライ・ラマが亡命生活を自ら語る集会も2日前に中止され、31日と4月1日にニューデリーで計画されていたイベントも縮小開催が決まっている。北東部マニプール州で開かれた「インド科学会議」(16~20日)への出席も取り消された。
中止や見送りの理由について関係者の口は一様に重い。チベット亡命政府のダドン・シャリン情報局長は「インドは大国であり、国が国益を追求する中で、考慮しなくてはいけない面があることは理解している」とし、自粛通知に配慮する発言をしている。
昨年4月に中国も領有権を主張するインド北東部アルナチャルプラデシュ州でダライ・ラマが講演を行った際、中国は抗議したが、インド側ははねつけている。インドの亡命政府側への姿勢は1年間で“後退”したとの見方が広がる。
「インドはダライ・ラマチベット人をどう処遇するか苦慮しているよう感じる」と、ダラムサラ近郊に住むチベット人男性(49)は話す。自身はインド政府には感謝しているというが、「中国ではダライ・ラマの写真を持つことも許されない。インドが中国に配慮してしまえば、こうした信教の自由も脅かされるのではないか」と嘆いた。

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貼り付け元  <http://www.sankei.com/world/print/180329/wor1803290042-c.html>