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北京の建設現場は宝の山、磁器掘り暗躍

北京の建設現場は宝の山、磁器掘り暗躍

http://www.yomiuri.co.jp/photo/20101221-363666-1-N.jpg
北京市中心部の報国寺の境内に広げられた「出土磁器」の露店(佐伯聡士撮影)

 【北京=佐伯聡士】北京のオフィスビル建設現場で、夜陰に乗じて懸命に働く人々がいる。
 といっても建設工事に携わる民工(農村からの出稼ぎ労働者)ではない。明や清時代の磁器のかけらを命がけで掘り出し、収集家に高値で売りさばく仕事師たちだ。その数1000人ともいわれる。危険と隣り合わせの商売だが、ゴミが宝に変わる瞬間が彼らをとりこにしてやまないようだ。
 北京市中心部にある報国寺。週末ともなれば、磁器のかけらが所狭しと並んだ露店は、大勢の人でにぎわう。「清、明、元のモノ、いろいろあるよ。明のこれなら一つ300元(約3800円)でどうだい」。40歳代の男性が約15センチ大のかけらを手にふっかけてくる。
 本当の価値は素人にはわからないが、収集家には大変な人気だそうだ。欠けた磁器を集める人もいれば、かけらを装飾品に使う人もいる。中国紙「新京報」によると、今年上半期、北京で開かれたオークションでは、158件の欠けた磁器が取引され、取引額は計688万元(約8670万円)に上ったという。
 関係者によると、13世紀から20世紀初めまでの元、明、清3王朝の都があった北京では、第2環状道路内の旧市街地の地下にたくさんの磁器が眠っている。特に、宮廷の倉庫やゴミ捨て場だった場所は、彼らにとって、成果が期待できる「宝の山」だという。
 この道に入って10年以上という男性(54)は「だれもができる仕事ではない。自分の目と腕だけが頼りさ」と語った。目星をつけた建設現場の警備員や現場監督を買収して関係を構築し、深夜、侵入する。シャベルと懐中電灯を手に、深く掘り起こされた地底に下り、黙々と掘り続ける。周りの土が突然崩落しないか、耳をそばだてながらの作業だ。

 月に2万元(約25万円)稼ぐ時もあるが、収入は不安定だ。もちろん、違法で、派手にやれば、逮捕される恐れもある。11月末には、北京の目抜き通りの 王府井 ( ワンフーチン )のビル建設現場で、河北省出身の磁器掘りの男性(36)が土砂に埋もれて命を落とした。

 掘り出して集めた磁器のかけらは、水で洗って、消毒液に半月ほど漬けた後、さらに磨く。ゴミが宝に変わる瞬間だ。「北京の中心部の建設現場は今ではほとんどなくなった。値打ちのあるブツも、どんどん少なくなっている。この先やっていくのも簡単じゃない」
 北京から、ほかの都市に転戦する者も出始めている。
(2010年12月21日22時33分  読売新聞)