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<北朝鮮>故金総書記への不謹慎者を処罰か


北朝鮮>故金総書記への不謹慎者を処罰か

アジアプレス 1月11日(水)13時39分配信
◇追悼行事不参加は強制労働 渡江者は公開裁判

(本誌特約=「デイリーNK」チェ・ソンミン 記者)

北朝鮮当局が急死した金正日総書記の追悼事業総括を終え、行事欠席者に対する強力な処罰を断行していると、北朝鮮内部から伝えられた。

咸鏡北道の内部消息筋は10日、デイリーNKとの通話で
金正日の哀悼期間中、組織や地域の集会に参加しなかったり、参加しても涙を見せないなど不謹慎な者に対しては、最低で6か月間の労働鍛錬隊への処罰が下 されている。三代世襲を非難するような噂を流布した者は、教化刑(懲役刑)になったり、家族の追放や管理所(政治犯収容所)への収容も適用されている」
と述べた。
また、別の内部消息筋が今月1日に伝えてきたところによると、
「(先月)29日から各レベルの企業所、人民班が追悼行事総和(総括)を開始した。この総和事業を8日までに終了せよとの中央の指示もあって、相互批判会議と調査が毎日行われている」
という。
当局は、追悼行事の総括作業に加えて金正恩氏への偶像化作業にも力を注いでる。先の消息筋は
「毎日、朝7時から夕方7時まで、通行人が多い道路の至る所に宣伝車を止めてせ、金正恩の偉大性を宣伝している。また、工場や学校、党機関、青年同盟員、 女性連盟員などを対象に、毎日午前と午後に新年共同社説の学習と、金正恩の偉大性学習を息つく暇もなく行なっており、住民は疲れ果てている」
と伝えた。
一方、哀悼期間中に、脱北や密輸を目的とした中国への渡江や、中国の携帯電話を使って外国と通話した住民が検挙され、各地で公開裁判が行われていると、この消息筋は伝えてきた。
(「デイリーNK」チェ・ソンミン 記者)




◇「死ぬんなら死んだらいい」...94年の金日成主席死去時とは大差
http://www.asiapress.org/apn/image/20111220-00000000-asiap-000-01-view.jpg
北朝鮮北部、両江道の恵山(ヘサン)市郊外。国境の河、鴨緑江を挟んで中国吉林省長白県と向かい合う。両地域は昔から貿易が盛んだが、金総書記の死去により、19日から税関は固く閉ざされたままだ。2010年7月中国側から 撮影:リ・ジンス(李鎮洙)
アジアプレス
北朝鮮の住民が金正日総書記の死去の報を冷ややかに受け止めているという報告が、北朝鮮内部から伝えられた。
北朝鮮北部、両江道の朝中国境沿いの街に住み、北朝鮮内部情報誌「リムジンガン」の取材協力者のオ・ソンリム(呉成林)氏は、金総書記が死亡した19日の夜、電話で現地の様子を次のように伝えてきた。

「街は落ち着いています。ここ数日、電気事情が特に悪く、正午の放送をテレビで見られなかった人がたくさんいました。そのため、金正日死去のニュースは、午後になってから市場で商売していた人々の口を通じて広がったんです。しかし、人々の反応は1994年に金日成が死んだ時とは180度違います。例えば当時は、金日成が死んだ直後から銅像や革命史跡地などをたくさんの人が訪ね、哀悼の意を表したものですが、今回はそうした場所にも人影がまばらです。道端では女性たちが商売を続けているし、当局が特段取り締まるわけでもない。以前だったら、こんな重大な時に商売をするなんて、『国家反逆者』のレッテルを貼られてもおかしくない行為だったのに」

19日の晩になって、朝鮮中央テレビなど国営メディアでは、故金日成主席の銅像肖像画を前に、人々が泣き崩れる姿をしきりに放映しているが、実際の住民の雰囲気は随分違うようだ。オ・ソンリム氏はこう続ける。
「どちらかと言うと、来るものが来た、と冷静に受け止めている人の方が多いようです。『死ぬのならば死ねばいい、関係ない』という声を聞きました。昨日(18日)と今日で、住民の生活に目立った違いは見られませんよ」

アジアプレスは、これまで二十年近く北朝鮮内部と朝中国境で取材を続け、750人以上の北朝鮮の人々と接触してきた。北朝鮮の住民のほとんどは、94年から17年間続いた金正日総書記の政治を「失敗したもの」と受け止めている。90年代中盤には「苦難の行軍」と呼ばれる社会混乱を招き、多くの餓死者を出したし、その後も経済は回復することなく悪化の一途をたどってきた。一方で国民が市場で商行為に精を出し、国家の統制経済体制から自立しようという動きに対しては、介入と取締りを繰り返した。

さらに2009年には突然のデノミ(通貨ウォンを100分の一に切り下げ)を行い、商売にすがって細々と生計を立ててきた庶民の財産を紙くず同然にしたため、住民の金正日政権に対する不信と不満は、決定的に強くなってしまった。金総書記死去の報に接した住民たちが、冷淡とも取れる反応をしているのも、経済失策による生活悪化に負うところが大きい。

さらにオ・ソンリムは北朝鮮住民の不満をこう伝えてきている。
「『将軍様は17日に死亡していたというのに、なぜ今になって人民に知らせるのか』という不満を顕わにする人がいます。『すぐに発表しないのは、住民が動揺して反発するんじゃないかと、住民を疑いの目で見ている証拠だ』と言っていました」

北朝鮮メディアによると、来たる28日に金総書記の葬儀が営まれ、29日までは哀悼期間だという。北朝鮮の住民は今後、哀悼期間中に催される様々な追悼行事に参加することになる。
アジアプレスでは北朝鮮国内に中国製の携帯電話を数台搬入し、北朝鮮内部のパートナーと取材を行っている。
[取材=オ・ソンリム(呉成林) 整理=リ・ジンス(李鎮洙)]