パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

本当に他人を思いやる心はどこに置いてきてしまったのか?

勝谷氏の有料ブログより


 その「平成の玉音放送」を耳にした私たち日本人は、いま深刻な「踏み絵」
を前に立ちすくんでいる。

 「昭和の玉音放送」は人々を「雄々しく」たちあがらせた。だから、
天皇陛下は戦後すぐの歌会始での昭和大帝の御製を「平成の玉音放送」の中
に引いたのだ。そして全国で槌音が響き、20年ほどの間に奇跡の復興をなし
とげたのはご存じの通りである。

 しかし、いま起きていることはどうか。
 <被災3県のがれき、処理済み5%/広域受け入れ進まず>
 http://www.asahi.com/national/update/0221/TKY201202210240.html
 <環境省は21日、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島各県のがれき
2253万トンのうち、埋め立てやリサイクルなど最終処理が済んだのは全体の
5%にあたる118万トンにとどまることを明らかにした。被災地外にがれき
を運ぶ広域処理の遅れなどが背景にある。2014年3月末までに処理を終える
政府目標について、細野豪志環境相は「このままでは難しい」との見方を示
した。>

 なんということだろう。
 まもなく東日本大震災から1周年を迎えるが、阪神淡路大震災ではそのこ
ろにはがれきはもうほとんど片づいていた。

 それから20年足らずの間に、日本人の精神はここまで劣化したのか。戦後
「昭和の玉音放送」で元気づけられた人々は20年の間に立ち上がった。
平成の日本人はどうやら20年の間に真の日本人ではなくなったのかも知れ
ない。何が「絆」だ。

 もっと嫌なことを書こう。阪神淡路大震災でがれきの処理が早かったの
は「それを取り除かなくては同じ場所に建物を建てられない」からでもあ
った。世界有数の港湾や阪神工業地帯を持つ一帯の早期の復興は、日本国
民全体のサイフをも直撃する焦眉の急だったのだ。

 ひるがえって東北地方では、同じ場所に家を建てていいのかどうかという
論議がまだある。阪神間に比べればがれきを置いておける場所もある。
しかし何よりも、日本国の他の地域の人々にとって阪神間よりも「重要度」
が低いのではないのか。もっとハッキリ言うと、政府だけではなく、日本国
民もまた東北の同胞を、深層心理のどこかで「棄ておいている」と言っては
残酷に過ぎるだろうか。

 次のようなことがモグラたたきのように今日も報じられているのを見る
と、しかしそう思えて仕方がない。


 <青森の雪「被曝が不安」/那覇、避難者の電話で催し中止>
 http://www.asahi.com/national/update/0221/SEB201202210017.html
 <沖縄の子供たちに青森の雪を体験させてあげようと、那覇市が23日に
企画していた恒例のイベントが中止になった。東日本大震災で被災して沖縄
へ避難している人たちから「被曝(ひばく)を恐れて避難したのに、危険性
のあるものを持ち込まないで」との訴えが寄せられたという。青森市内の21
日の積雪は140センチ。「残念だ」と青森県の担当者は肩を落とす。

 イベントは今年で18回目。この時期に青森県海上自衛隊八戸航空基地
訓練する沖縄の部隊が雪を持ち帰って、沖縄県内の幼稚園などに配ってきた。

 那覇市は70人ほどの子どもたちを招くはずだった。しかし朝日新聞本紙に
よれば
 <中止を求める電話が7、8本あった>
 のだそうだ。それがどうした。どんな地域にも頭の狂った奴らはいるのだ。
がれきの問題でも各地の実態を聞くと、そんなに大勢の住民が反対している
わけではない。

 しかし、数十人の職員室でも2、3人の日教組屑が跋扈すると投票依頼の
チラシなどを配られても黙ってしまうという。声の大きな「主義者」にこの
国は乗っ取られていまいか。政治家がそちらにあわせてしまうのは究極の
「馬鹿基準」ではないのか。

 全国で「絆」を踏みつけにする馬鹿基準が横行しているわけだが、
あるいは今回のケースはもうひとひねりあるのでばないかと、陰謀論者の
私は直感する。

 からんでいるのが「自衛隊」だということだ。
 
 南国沖縄から雪の降る被災地に急行した部隊は、獅子奮迅の活躍で
東北の人々の心の中に飛び込んだ。

 なかでも三線を使った慰問は大人気で、それがきっかけで三線を学び、
発表会までひらいた子どもたちの話題を、確か先日の新聞で見た。震災から
わずか3週間のころには、もう被災地には三線の音が流れていたようである。

 <避難所に三線の音響く/南三陸、沖縄の隊員ら>
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110331/
dst11033122120084-n1.htm
 <宮城県南三陸町の避難所、県立志津川高校で、陸上自衛隊第15旅団
那覇市)の隊員約35人が沖縄民謡を披露した。約150人が集まった会場は
「イヤーサーサー」というおはやしと手拍子に包まれ、沖縄の楽器三線
演奏を被災者らが楽しんだ。

 同校を拠点に給水活動などに当たる隊員が4曲を演奏。被災者の菅原貞一
さん(57)は「南三陸で沖縄の民謡を聞けるなんて。涙が出そうで、力が
湧いた」と話した。

 演奏会は「子どもたちに聞かせたい」と隊員が三線を取り寄せたのがきっ
かけ。桑鶴仁郎1等陸曹(37)は「ありがとうの言葉に、逆に元気をもらっ
た。明日からまた活動を頑張ります」と意気込んでいた。>

 福島原発からはるか離れた青森の、それも雪を持ち込むことに反対する
というのは、もう言いがかり以外のなにものでもない。同時にそんな頭の
おかしいことを思いついて電話して来る奴が7、8人もいるというのも異様
きわまりないではないか。

 米軍の「トモダチ作戦」に対して、沖縄のメディアは「普天間に居すわ
るための人気取りだ」というとんでもない偏向報道をして、本土の良民常
民を仰天させた。

 米軍であれ自衛隊であれ「軍」と名のつくものすべてに噛みついて、
それを商売にしている連中が残念ながら沖縄には存在する。そうした奴ら
からすると、沖縄の部隊と東北の人々との交流はにがにがしかったに
違いない。そこへ「東北から雪を自衛隊が持って来て基地で保管した」
のだ。「これだ!」と放射能を口実にイヤガラセをしようと思いついた
奴がいたとしても不思議ではない。

 それにしても。いつから日本人は合理的思考を完璧に棄てたのだろう。
がれきも「福島のものは外に出さない」んですよ。雪からは「放射能
検出されなかった」んですよ。だったらそれ以上どうしろ言うのだ。
こういう子どもがいれば「だだっ子」と呼ぶ。「わかるまで廊下に立って
いなさい」だ。


_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
(c)2012 勝谷誠彦、katsuyamasahiko.jp All Rights Reserved.
問合せ:info@katsuyamasahiko.jp
情報提供・感想:stealth@katsuyamasahiko.jp
購読解除:http://katsuyamasahiko.jp/dissolve.html
発行:株式会社 世論社