中国が国境管理強化、チベット人亡命急減 自由求め結束強まる
2012.11.29 07:08
中国でチベット人の焼身自殺が相次ぐ中、インドへ亡命するチベット人の数がここ数年、激減している。チベット亡命政府によると、中国政府がチベット人への弾圧を強化する上に、脱出経路となるネパールとの国境管理を厳しくしているためだ。インド北部ダラムサラの亡命チベット人社会では、同胞が受ける“二重の締め付け”に危機感が高まる一方で、自由を求める人々の結束はいっそう強まっている。(ダラムサラ 岩田智雄)
◆減り続ける難民
「チベット騒乱があった2008年までは、毎年約2千人が中国からダラムサラへ逃れ、インド各地や第三国へ広がっていったが、その後、難民の数は減り続け、今年はまだ355人しか来ていない。昨年、インドに定住したチベット人難民は150人ほどだった」
チベット亡命政府情報国際関係局の広報担当者、ロブサン・チョエダク氏は最近の亡命者の減少ぶりをこう説明した。
亡命政府によれば、09年以降、中国で政府の弾圧に抗議しダライ・ラマの帰還を訴えて自殺を図った人は28日まで87人。その数は、今年10、11月だけで35人に上る。
最近は、相次ぐ焼身自殺に業を煮やした当局が弾圧をさらに強め、隣国ネパールにもチベット人の越境の取り締まりをより強硬に求めているとされる。このため、チベット人が、ネパールを経由してインドへ逃れることが難しくなっているという。
支援団体の寄付などで幼稚園児から高校生までを教育する8校を運営する「チベット人子供村」(本部ダラムサラ)が今年新学期、新たな難民として迎えた生徒は69人と前年から半減した。08年までの700~800人と比べると、10分の1にも満たない。
◆イベント自粛措置
中国での締め付け強化の影響は、亡命チベット人社会全体にも及んでいる。チベット亡命議会のダードン・シャーリン議員は、「チベット人の知識人や政治家は亡命人社会から生まれている。インドへの流出者の減少はチベット人にとっての危機だ」と訴えた。
焼身自殺者の続出で、今年、ダラムサラでは数々のイベントで自粛措置がとられ、チベット文化を発信するため毎年行われてきた「ミス・チベット」も中止された。ダラムサラはトレッキングなどの観光客でにぎわうが、「チベット人社会にはお祝いムードはない状態」(シャーリン議員)という。
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お知らせ
- 12月8日(土曜日)に「世界人権デー デモ~チベットの現状を訴える~」を行います。時間、場所等詳細が決まり次第お知らせします。
- 12月10日(月曜日)に「世界人権デー キャンドルライティングと祈り~世界同時にチベットのために~」を行います。亡命政権 シキョン(政権総裁) ロブサン・センゲ氏より〈チベットの為に世界的に団結する日〉として世界人権デーの日に世界各国のチベット人とサポーターの皆さんが協力をして活動をして欲しいというメッセージがありました。そしてチベットのために自らの命を絶った同胞に哀悼の意を表し灯明を灯しアピールして欲しいともあります。チベットスタイルでは灯明を手に平和的行進をするマルメ トムコルといいます。時間、場所等詳細が決まり次第お知らせします。
- 前回のラカルのお祈りの会にご参加・ご協力いただいた方々ありがとうございました。当日の写真とともに次回のラカルのお祈りの会(11月28日)のお知らせを掲載いたしました。ご参加をお待ちしています。