パルデンの会

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尖閣問題「挑発停止を」/日本に対話解決要求/習主席

勝谷誠彦氏の有料ブログより転載

今日オンエアの『TVタックル』の中で、使われていれば私は明言していると思うが「異様に早い時機の米支会談」は明らかに「支那の焦りのあらわれ」であり、訪米そのものが習近平の外交的失態と言っていい。今後、支那の政権内部での抗争の材料にこの失態が使われるのではないか。
 <尖閣問題「挑発停止を」/日本に対話解決要求/習主席>
 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013060900036
 <米カリフォルニア州で7、8の両日行われた米中首脳会談で中国の習近平国家主席沖縄県尖閣諸島南シナ海問題に言及、日本など関係国を念頭に「責任ある態度で挑発を停止し、対話を通じ適切に問題を解決する軌道へ早期に戻ることを望む」との立場を表明した。随行した楊潔(タケカンムリに褫のつくり)国務委員が、8日の会談終了後、記者会見で明らかにした。>
 アメリカとの会談で尖閣諸島について持ちだすのがそもそも筋違いでしょう。日本国政府はそのことをきちんと指摘するべきだ。日本国はアメリカの属国なのか。日米安保の対象となるかどうかを危惧しているなら、はっきりとそう言えよ。それは「戦争をするかも知れないよ」ということだ。国際社会にそう表明するがいい。
 今回の米支会談では支那の惨めさばかりが際立つ。メンツで飯を食っているような連中なので、この点で国内での批判が高まるのは間違いない。
 <中国外交を統括する国務委員の楊氏が、会談内容を記者団に直接説明するのは異例。中国側が今回の首脳会談を重視し大きな成果があったことを表しているとみられる。>
 時事通信だからあまり期待はしていないが、この解説はまったく逆である。ヨウ・ケツチが表に出てきて成果があったように喋らなくてはいけない一方で、アメリカ側は国務長官は別に解説に出てはこない。今回ほど「格の違い」を見せつけた米支会談はこれまでなかったのではないか。支那メディアもそれを充分に感じている。独裁国家だけに表立っては報じないが「空気」は充分に伝えている。ヨウ・ケツチが同行しているのと同時に、習近平は自慢のトロフィーワイフを連れていった。支那側としてはこれ以上ないほどの見栄を張ったのである。しかしそれに対するアメリカ側の対応は冷たかった。象徴的なのが「夫人問題」だ。
 <協議継続で一致、オバマ大統領の訪中を要請/米中首脳会談 >
 http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323614804578534432728346970.html?mod=googlenews_wsjja
 <米中両首脳は8日午前の大半をともに過ごした。会談を終えると、彭麗媛・習主席夫人と駐米中国大使夫人を交えてお茶を楽しんだ。ミシェル・オバマ大統領夫人はワシントンに残り首脳会談には出席しなかった。>
 支那側は切れる「夫人札」をすべて切った。しかしオバマ大統領は冷淡だったということがこの数行でわかる。しかも。
 <習主席は米中関係を対等な立場の大国間の関係として再定義するという提案を抱いて米国にやって来た。習主席は19世紀のアヘン戦争まで中国が世界の中で確立していた地位を取り戻すという「中国夢(チャイナ・ドリーム)」の実現を目指しており、その一環として米国との対等な関係を築きたいと考えていた。
 初日の会談前に、両首脳は40度を超える暑さの中、邸宅の庭を歩き、報道陣のカメラの前で握手した。2人とも襟元のボタンをはずした白いワイシャツ姿で、ネクタイは着用していなかった。両首脳は短く、両国関係における新たな時代の必要性を訴えたが、オバマ大統領は習主席が提案した対等な大国という図式に賛意を示すには至らなかった。>
 時事通信ウォール・ストリート・ジャーナルの格の違いがよくわかる。弱小ながら頑張っている時事通信ごめん。
 外交担当の国務委員が同行して表に出ていることを「成果のあらわれ」と時事通信は評価するが、ウォール・ストリート・ジャーナルはミシェル夫人が最後まで出てこなかったこと、そして「大国仲間」になりたい支那の主張をオバマ大統領が冷淡に切って捨てたことをきちんと報じている。そういうことだったのだ。習近平は周囲に対して相当荒れているのではないか。
 今日の『タックル』で、これも使ってもらっていれば私は指摘していると思うがそれでも習近平が訪米せざるを得なかったのは「北朝鮮の着地点」をアメリカと相談して定める必要性に迫られているからだ。いまは新帝国主義時代だと私はいつも言っているが、かつての旧帝国主義の時代と同じく「国境線は帝国が引く」世の中になっている。朝鮮半島のそれをどうするかということを決めないとモノゴトが進まないのだ。
 北朝鮮ではどうやら改革開放派が軍の強硬派をおさえこんだ。支那は懸命にそれを支援した。銀行口座の封鎖などを「北朝鮮に対して冷たくなった」と大マスコミはまことにアバウトな解説をしていて私は嘲ったが、あれは「軍強硬派の資金源を絶つ」ためである。ガン細胞に行く血管を縛ったのであって、北朝鮮という「全身」を殺すわけではない。
 しかしそれをいつまでも続けるわけにはいかない。「全身」が死んでしまうと難民が大量に出て厄介なことになる。なんとかおさえている間に、パパッと改革開放路線を確定しなくてはいけない。そのためにはアメリカを抱き込む必要が習近平にはあった。
 アメリカとしては「オノレがここまで甘やかしたんやろが。今ごろ泣きついてきてどうする。こっちは軍事行動だったいつでもできるんだぞ。そうなった朝鮮半島の北でで直接、おまえらと向き合うことになるぞ」だ。この立場の差が、外交儀礼上での「格差」となってあらわれた、というのが私の見方なのですがね。

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成25(2013)年6月10日(月曜日)貳
        通巻第3959号
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ドロボーが逃げるとき、大声で
「ドロボー」と叫んで走るように
「(日本などは)挑発を止めろ!」ト
中国国務委員が米国で演説した
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  米中首脳会談で、習近平が本当に狙ったのはアジア太平洋の米中分轄である。だから不用意に「太平洋は米中を受け入れる空間がある」と記者会見してしまうのである。
 つまり尖閣を強奪するが、米国は黙っていろ、と言外に要求し、さすがのオバマも、そういう話には乗らなかった。

泥ボーが逃げるとき、「泥ボー」と大声をあげて、さも泥ボーを追いかける演技をしながら、逃げ去る。 
これ、中国外交の得意技である。 
米中首脳会談の成果がぱっとしなかったが、直後にパームスプリングズ郊外で記者会見した楊潔チ国務委員(前外相)は、こともあろうに「関係方面が責任ある態度をとって挑発行為をやめ、対話を通じて妥当な問題処理と解決の軌道に立ち戻るよう望む」と述べた。 

日中間に領土問題は存在しないのに、日本を含む関係国に対して、中国と領土交渉に応じるよう求めたもので、「習近平・中国国家主席の発言として、国家主権と領土を断固として守るとともに、対話を通じて問題の処理と解決を図る」という中国の原則を米側に伝えたと述べた。
楊国務委員は記者会見では「釣魚島(尖閣諸島の中国名)」と同時に「南シナ海」を明確に言及した。ということは「関係方面」の語彙には日本、フィリピン、ベトナムが含まれている。

 細谷雄一は『国際秩序 18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ』(中公新書)のなかでかく述べる。
「もしも現在の東アジアおよび東南アジアで、中国が近隣諸国に対して『自らが正しいと見なすことを独断的に命令』できているとすれば、そこでは勢力均衡がもはや崩れてしまったことを意味する。他方で、アメリカ政府が『独断的に命令』されることのないように中国の周辺のそれらの小国の主権の維持を支援するとすれば、それは勢力均衡が典型的に機能したといえる」
 
 米国はこの指摘のように動いているか、どうか。