「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)8月27日(木曜日)
通算第4636号
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中国の軍事パレードで一番の見所は新型兵器? 各国代表一覧? 最大の関心事は江沢民が出席するか、どうか、である
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九月三日に北京では「抗日戦争勝利」の軍事パレードが行われる。日本軍と戦ったのは蒋介石率いた中国国民党であり、当時、共産党は陝西省延安の洞窟に隠れて息を潜めていた。
その党が、抗日戦争勝利とは片腹痛し。
今回の軍事パレードは、変則的であり、かつ習近平の治世一千日、「見せ場」になる。
ロシア、韓国大統領のほか、なぜかベトナムからも参列がある。日本からは安倍首相はもちろん駐在大使も出席しない。珍しいところでは国民党の老兵たちが参加する(といっても90歳以上だろうから、歩けるのか、どうか)。
日本のチャイナ・ウォッチャーの多くは、上記のポイントに関心があるようだが、軍事アナリストの間では、いかなる新兵器が登場するか、新型ミサイルがでてくるのか、どうか。
しかしパレードの車列が通る長安街では、すでに一ヶ月も前から通りに面するビルは窓をすべて閉め、その措置は建国門外にまで到る。ホテルは長安街側の宿泊を禁止している。まるで戒厳令下である。軍事パレードを市民には見せないつもりらしい。そのうえ、地下鉄ばかりか、ホテルに出入りするにも荷物検査が行われている。
1999年のパレードには江沢民、ライバルの喬石、胡啓立、薄一波らが雛壇に並んだ。
2009年には、胡錦涛の次に江沢民がならび、後列には引退した朱容基らも並んだほか、引退組の長老(喬石、万里ら)の姿もあった。
本来なら十年ごとの軍事パレードは2019年の予定だった。それをどうしても戦後70年の節目にあわせて前倒しに行うとして習近平は軍事パレードを変則的に実施することとし、各部隊に訓練をさせてきた。
▲江沢民は出席しないだろう
だが、江沢民の出欠のほうが、最大の関心事。もし、出席しなかった場合、上海派の退潮が明確となり、権力闘争はつぎの展望がひらけてくる算段になる。蛇足だが李鵬は入院生活で登壇は不可能という。
江沢民は最近立て続いた長老達の葬儀(喬石、万里、慰健行)に「欠席」した。
上海から花輪を送って弔意を示したことが人民日報に「意図的」に配信された。そのうえ、八月にのびた北戴河会議に、江沢民と曽慶紅が欠席したことが判明した。しかも北戴河会議の最中、天津の大爆発事件が起きたのだった。
こうした流れから憶測できるのは、軍事パレードに江沢民は出席しないだろう。それが明らかになったら、上海派の退潮は、上海株同様に暴落に到り、中南海の権力地図ははっきりと塗り替えられることになる。
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中国の閲兵式 ロシア韓国など49カ国参加
2015/08/26 17:40 大紀元より転載 中国外交部の張明次官は25日、これまでに49カ国が出席を表明、そのうち30カ国は国家首脳または元首脳であると発表した。
英BBC中国語電子版によると、前出のロシア、韓国のほか、スーダン、ベネズエラ、ミャンマー、ベトナム、チェコなどの国の首脳陣も参加。北朝鮮は金正男総書記の側近で朝鮮労働党中央委員会の主要幹部・崔竜海氏(チェ・リョンヘ)が出席。一方、欧米主要各国の首脳は招待を辞退した。イギリスとフランスは前閣僚を、米、ドイツ、カナダ、欧州連合は駐中国大使を派遣する予定。
ロイター通信は「欧米主要各国の政府関係者は、領有権問題でますます強硬化する中国政府に対し、閲兵式が(世界に)誤ったメッセージを発信するではないかと懸念している」と報じた。
BBCは「中国政府は今回の式典を通して、戦勝国として戦後秩序の形成を主導したとアピールする狙いだ」と評した。
閲兵式に向けて、首都北京では厳しい警戒態勢が着々と敷かれている。中国政府系メディアによると、22日夜から23日正午ごろまで、リハーサルが行われ、1万人以上の兵士が参加したという。
中国のインターネットでは「閲兵式で抗日戦争に参加した老兵を登壇させるより、退役軍人の処遇をもっと改善したほうがよい」などの辛口コメントもあったが削除されている。中国各地では近年、79年の対ベトナム戦争(中越戦争)に参加した退役軍人が生活苦を訴え、当初約束された就職などの政府保障を求める集団抗議をあいつぎ起こしている。
(翻訳編集・叶子)