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中国、香港独立派へ締め付けは逆効果



[FT]中国、香港独立派へ締め付けは逆効果

2016/10/25 6:30 日経新聞
 香港立法会(議会)の若き議員、游●禎(●はくさかんむりに惠=25)氏と梁頌恒(30)氏がもし先週、スマートフォンを数分間置いて地元紙を手にしていたら、たちの悪い不意打ちに遭っていただろう。港九塑膠製造商連合会といった普段は控えめな組織が、中国からの独立を支持しているという理由でこの新人議員2人を非難する広告を出し、新聞を埋め尽くしていたのだ。
香港立法会(議会)で途中退席し、審議を停止させた親中派の議員ら(19日、香港)=AP
 ある青年団体は「彼らの心は暗く汚れている」と表明した。教育文化分野のある有力者グループはこの2人の追放を求めた。中華全国婦女連合会の香港支部は、游氏は「中国を侮辱した」だけでなく、「世界中のすべての中国人の感情を傷つけ」、「すべての香港女性のメンツを潰した」との見解を示した。
 公然と非難するこうしたやり方は、中国共産党が敵対者に対し展開する宣伝戦略に薄気味悪いほど似ている。
 半自治区である香港で独立への支持が高まるにつれ、地元企業や政界の既成勢力はますます、境界線の北側の共産党の既成勢力のように振る舞うようになってきている。
 中国政府からすれば、香港に対する締め付けは、分離主義への支持の高まりに対する当然の対応だ。中国政府は旧英国領の香港だけでなく、チベット自治区新疆ウイグル自治区、また、事実上独立状態の台湾などについても同様の懸念を抱いている。
 親中派は、游氏と梁氏が今月行われた香港立法会の宣誓の際、「香港は中国ではない」という幕を掲げて「香港国」への忠誠を誓い、その際に中国を、蔑称とされる「シナ」と意図的に呼ぶなどして侮辱したと非難している。
 立法会の議長は両者に再宣誓を求めたが、香港政府は両者の議員資格を剥奪するための司法審査を要求している。
 親中派議員が19日の立法会を途中退席したため、この2人の議員は実質的に再宣誓ができなくなった。この行動が議員自身の判断によるものなのか、中国共産党の正式な管轄でない領土で党の指示を遂行する駐香港特別行政区連絡弁公室からの指示であったかは明らかでない。
文化大革命時のやり方望まぬ香港の人たち
 香港政府は、「同胞の気持ちを傷つけた」として両議員を非難する声明を発表して懸念を示した。これは、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマの支持者であれ、台湾独立を認める者であれ、人権運動の推進派であれ、中国政府が敵対者に対抗するために支持を集める時に使う言い回しだ。
 一度「中国人の感情を傷つけた」と非難されれば、インターネット上での悪意ある攻撃や外交での冷遇、取引のボイコットなどがすぐそれに続くのが通例だ。
 この戦略は、既にほぼ完成していたメディアと市民社会への統制を習近平国家主席がさらに強めた中国本土では通用するかもしれない。だが、自治権への侵食が加速する中でも依然として個人の自由度がはるかに高い香港では、その効果ははるかに小さい。香港の多くの人々は、まさにそうした抑圧から逃れるために本土から逃げてきたのだ。
 先月の議会選挙で独立と自立を推進する議員候補に投票したのは、香港人の約20%だけだった。また、多くの人々が游氏や梁氏の言葉に賛同していない。だが、香港の人々は文化大革命のような糾弾や謝罪の強要が当たり前となることを望んではいない。
 香港に非難の文化をもたらすことにより、親中派は本土と友好的な関係を築くだろう。中国政府にとって危険なのは、この戦略が裏目に出ることだ。攻撃的な非難は、より多くの人々を独立支持に駆り立てるだろう。
By Ben Bland
(2016年10月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

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