今こそ安倍政権政府は日本の針路を考えるべきである。野党も 揚げ足取りではなく 実体のある日本の将来の姿を考えてほしい。
共産革命や、社会革命など 欧米では死んだ思想を追い求めてほしくない。
日銀頼みの再生、限界に 侮れぬ中国減速の「震度」
- 2016/2/1 3:30
- 日本経済新聞 電子版
年初から荒れもようの株・為替市場。その原因で大きいのは世界2位の規模を持つ中国経済の減速だ。
減速の元となった過剰な生産設備や債務の調整には何年もかかる。その影響は世界に広がり、日本の景気を下押しするだろう。
それは安倍政権の政策にも響く。日銀頼みで高めの成長を狙い、税収増をてこに財政を立て直す“痛みなき再生”路線は危うさを増す。一方で手負いの中国はロボットなど近未来の主戦場となる先端分野に活路を求め日米欧に迫る構えだ。
日銀は追加緩和を決めたが、政府の成長力強化策や財政改革が遅れると中国発の激震に耐えられまい。
楼継偉中国財政相は昨年秋「今後5年間は構造転換の時期。苦難の過程になる」と述べ話題を呼んだ。
「調整にあと7~8年かかる」とみるのは現代中国研究家の津上俊哉氏。「人員削減を急げば共産党が嫌う社会不安につながりかねない」。このため慎重に調整を進めるとの見方だ。
中国への輸出で世界2位、輸入では3位の日本は直接の影響を被る。また中国減速や米国の利上げは原油など資源の価格低迷を長引かせて資源国経済を傷め、そこへの輸出も冷える。
資源輸入国の日本にとって資源の値下がりはプラスだが、中国減速の影響が世界中に広がればマイナスの方が大きいだろう。少なくとも日銀がめざすインフレ率2%は遠くなる。
しかし世界経済が不透明になり国内の成長期待も高まらないと、企業は賃上げや設備投資にそう前向きになれない。またマイナス金利幅を今後、拡大するようだと円安を促し通貨戦争の引き金を引きかねない。
そろそろ過大な成長目標を諦め民間調査機関が予測する実質1%程度とし、その実現手法も日銀頼みから技術革新支援など成長力強化に重点を移すときだ。
「中国は技術革新主導型の成長を考えており、日本企業も悠長に構えてはいられない」と警鐘を鳴らすのは三菱総合研究所の武田洋子氏。中国政府は昨年、インターネットと製造業を融合させて高度な製品やサービスを生みだすため「中国製造2025」と「インターネット・プラス」の2つの計画を決めた。
鉄鋼など従来型産業の設備調整を進める一方でロボットや高度工作機械、航空・宇宙などで日米欧を巻き返し成長の糧とする考え。有人宇宙飛行に成功した国だ。技術力は侮れない。
一方、実質1%程度の成長を前提にすれば2020年度の財政健全化目標(新たな借金は過去の借金の元利払い以下にする)の達成は厳しい。それでも22年に団塊の世代の先頭が75歳となり医療・介護費が一段と増えるので「20年度の達成は必達目標」(富士通総研の早川英男氏)だ。
日本には有能で我慢強い人々が多く、技術も資金もある。中国発の経済低迷で大打撃を受ける前に、この国の底力を生かして実効ある再生策を進めたい。